トンネルズアンドトロールズ
生まれて初めて出会ったTRPGは何か、と言われると「D&D」と即答できるけれど、二番目に会ったゲームは、と言われると一瞬答えに迷う。当時の年表やらなんやらをひっくり返して考えると、恐らくトンネルズアンドトロールズだったと思われる。
最初に書店でそれを見かけた時は驚いた。
まず、今からは考えにくいことだが「TRPGが書店に置かれている」ということが驚きだった。普通はおもちゃ屋に置かれるものだったからだ。
次に(前にも書いたが)そのタイトル。「パロディゲームなんだろうか……?」だって、ねぇ(笑)。
買ってみて真面目なゲームだということが分かり、仲間内でも遊んでみようという話になった。私が「今度はプレイヤーがやりたいよー」とゴネたため、もう一人別のGMが立てられたのだが……。遊んだのは数回だっただろうか。
うちのプレイグループに合わなかった理由はいくつかある。確かにD&Dと違って1冊500円という値段は魅力的だったが、当時はルールブックが一人一冊という時代ではなかった。誰か一人がルールブックを持っていれば、他のプレイヤーにとっては値段は問題ではなかったのだ。
さらに、戦闘が大味に見えた。モンスターレート形式の戦闘ルールは、一回優勢になるとそのまま勝ててしまうルールだったため、プレイヤーたちはすぐに戦闘でダイスを振るのすら面倒がるようになってしまった。芝村氏あたりに言わせれば低レベルな話なのだろうが……*1。
また、D&Dの基本クラスのうち僧侶が存在しないこと、盗賊が劣化魔法戦士で盗賊としての能力をほぼ持っていないことも不評だった。端的にいえば、プレイヤーの人数が多くなるほどキャラクターのバリエーションが足りず個性が出ない。
そしてもう一つ。大きな理由がある。仲間内は皆「ソードワールド待ちだった」のだ。
T&T担当が元々GMに乗り気でなかったこと、ソロアドベンチャーから魔法のクロスボウやテンダイスソード*2を持ち込んでバランスブレイクしたプレイヤーがいたこともあり、仲間内ではすぐにT&Tは下火になってしまった。私自身の思い出も「火縄銃使いのディードリットコンパチキャラ」くらいしかない。
D&Dエキスパートルールセットの購入とともに、仲間たちの興味はT&TからD&Dのワイルダネスアドベンチャーへと移っていったのである。