スケールは小さいが……

ペルソナ5 カモシダの悪事のインパクトが強すぎて他がすごいと実感できない


 確かに、あの第1章だけは他と比べても「異質」で生々しい。リアル学生とか、学生を経験した身からすると、鴨志田の悪事が一番「ありそう」で「身近」なんだろう。他の敵はスケールが一般人と違ってて、想像はできても身近には感じられない。
 あと、これには言及してる人がいなかったものの、実は「パーティメンバーを除く『友人』に回復不能な傷を負わせた」のは鴨志田一人だけ。あとの被害者は基本的に、祐介の母親、双葉の母親、春の父親……と、主人公とは直接接点がないか少ない人物がほとんど。パーティメンバーに関しては、鴨志田以外「パーティメンバーが酷い目に遭う」→「仲間が支えになってそれを克服」となるが、志帆は本人に何の落ち度もないのに、ゲーム開始時点で既に被害を受けていて、仲間にもなることもなく、コープを築くこともなく、辛うじて退院だけした状態でそのまま物語から退場していってしまうのでバッドエンド感が強い。
 しかし、前にも書いたが、じゃあ被害者が杏ならよかったかというとそうでもなく、導入部でプレイヤーに感情移入させてゲームに引き込み、かつプレイヤーがドン引きしないギリギリのラインを探ったらああなったんだと思う。導入に成功すればプレイヤーをゲームに引き込めるわけだから、こうしてゲームが終わった人からも鴨志田の印象が強いと評価してもらえるということは、目論見は成功だったということだろう。