昨日のエントリに補足

 DQXをご存じない方から見ると、昨日のエントリは「何をそんなに目くじら立ててるんだかわからない」「他のゲームは全鯖配信可能が普通」とか思われるかもしれないので補足しておこう。
 実は、DQXにはある「致命的な欠陥」がある。私は今までこれを欠陥とは考えてこなかったのだけれど、ユーザーの反対を押し切って全鯖配信可能を実行に移すのなら、やはりこれは「致命的な欠陥」と言わざるを得ない。


 DQXには、フレンドでもチームでもパーティメンバーでもないプレイヤーをサーチする機能が存在しない。


 FF11にも、私がプレイしていた頃のFF14にも当然のように実装されていたし、他のオンラインゲームでも「これからパーティを組もうとする相手の元に向かう」とか「初めてログインして誘ってくれたリアルフレンドと合流する」なんてシチュエーションを考えると、サーチ機能があるのは当たり前にも思えるのだが。
 サーチ機能が存在しないことと、全鯖配信可能が組み合わさるとどうなるか。マナー違反と分かっている配信者の居場所がサーチできないので、探して避けることができない。つまり、自衛の手段がないのである。
 もちろん、全ての配信者がマナー違反とは限らない。が、全ての乗客がハイジャック犯とは限らなくても、金属探知機を使うのは当然だ。まして、スクウェアエニックスは、配信上で他プレイヤーに対してなされた誹謗中傷を「ゲーム外の行為」として取り締まってこなかった。これからも取り締まる気は絶無だろう。その点については微塵も期待できない。
 また、配信者自身がマナー違反でなくても、彼らの元に集まってくるアンチはどうか。どんな配信者であっても、自分たちの敵対者のマナーまで保証はできないはずだ。配信者が頭のおかしいプレイヤーに絡まれれば、周りの人間まで迷惑を蒙る。

 もちろん、サーチ機能がないのは嫌がらせやストーカーを防ぐためもあるだろう。そういったメリットもあるから、今まで触れてこなかったのだ。しかし、配信を避けたい人は、特定の相手に嫌がらせをしたいわけではない。特定の相手を避けたいだけだ。相手がいるエリアなど知る必要はなく、サーバだけ分かれば用は足りるが、それすら調べる方法がない。今のまま全鯖配信可能とするというのであれば、やはりサーチ機能がないのは欠陥だと言わざるを得ない。

語るに落ちたり

【ドラクエ10】前サーバー配信可能の何が問題なのかさっぱり分からん


 このまとめが、非常に端的に状況を表している。表題の書き込みで人を煽った張本人が「じゃあ、IDとキャラ名をここに書け」と反論されても、書けない。これが現実だ。


【ドラクエ10】全サーバー配信可能についてアストルティアでは話題になってないの?


 不毛な議論を見るだけでもうんざりしていたが、追った価値はあった。
 「ただいま配信中」アイコンは、なかなかいいアイデアだと思う。理想はサーチ機能なのだけれど、どうせ今更実装はしないだろう(できないとはあえて言わない)。シンプルで修正範囲も大きくならなそうな、アイコンの追加だけなら十分実装可能に思える。実際には、アイコンが目に入った時点で既に相手の配信画面には映っているだろうから、そもそも映りたくないという人には手遅れだし、悪質な配信者はアイコンを出さずに配信するかもしれないが、それを計る指標になるという意味はある。
 アイコンだけでも実装してくれるなら、まだユーザーの声に向き合っている証になるだろう。逆に、その程度の実装すらしないのであれば……言わずもがな、だ。


 なお、私が問題にしているのは「選択の余地がなくなる」ことなので「配信可サーバが2では足りないから、配信不可サーバを2にして後は配信OKにするよ」というのなら許容できる。繰り返すが、問題は「選べなくなること」だ。

閑話休題

 先日、FF14を最近までプレイしていて休止した友人と一緒に食事をした。
 その席で、彼は熱く語った。吉田氏がFF14を作った時、そこには明確な理想像や思想があった。それが、色々なしがらみによって妥協を余儀なくされていき、最後には理想とかけ離れたものになってしまった、と。
 私は今、DQXでまざまざとそれを感じている。
 藤澤氏がDQXを作った時も、そこには理想があったはずだ。サーバを自由に移動できる設計と、そこで1人用やキーボードなし、配信の有無などを推奨という形で自由に選べるというシステムは、他のゲームにはない秀逸なアイデアだった。
 その秀逸なアイデアが音を立てて瓦解していく様を、私たちは目にしている。突き崩そうとする者たちがロクに説明責任を果たそうとしないというところまで、腹立たしくも全く同じである。規約変更当日まで変更内容を明かさないとか、どれだけ後ろ暗いんだと言いたい。これはアストルティア学園とは訳が違う。新コンテンツが好みに合うかどうかという主観の問題ではなく、ユーザーが必要とし、また活用していた機能がなくなることは客観的に見て機能の劣化だからだ。


 理想の城(キャメロット)も信頼も、築き上げるのには膨大な努力が必要だが、壊すのは一瞬だ。