え、そこで考察終わり?

ゲームでおなじみ「バハムート」はもともと「ベヒーモス」だったって本当?


 そこまで書くんだったらティアマットにも触れようよ……。
 あと、しつこいようだけどD&DじゃなくてAD&Dな。


 ──と、これだけでは前に書いたエントリと同じになってしまうので、5年前のエントリから、もうちょっと考察を続けてみる。
 現在のD&Dでは方針が変わっているが、当時のAD&Dは大まかに「一神教の教えに登場する神格は善悪を問わずローフル」「多神教に登場する神格は善悪を問わずカオティック」という分類だった(例外もある)。その後、世界情勢の変化やD&Dの大衆化に伴って、オリジナルの神格を増やし、宗教的に中立を保とうとしているのが、今のD&Dだ。
 バハムートの原型は旧約聖書にあり、イスラムの宇宙誌では神に従う存在とされている。つまりローフルな存在だ。そのため、悪のドラゴンの頂点に立つティアマット多神教を奉ずるバビロニアの悪魔)の対偶に立つ存在として、白羽の矢が立ったのではないかと思われる。
 というのも、一神教の世界観では「神に従う善なる竜」というのが全然出てこないのである。一神教ではサタンの化身とされているせいなのか、もっぱら邪悪な存在しか登場しない。東洋では西遊記にも登場する竜王を始めとして善悪ともに枚挙に暇がないのとは対照的である。
 これは憶測だが、AD&Dを作成したスタッフが、本来のイメージであれば「巨大な魚」とされるバハムートを「善なる竜」として採用したのは、他に候補がいなかった苦肉の策ではないか……という気がしないでもないのだ。一方、クラシックD&Dでは、原典のまったく存在しない竜を登場させたのは前に書いたとおりである。