映画コミック2連発


 木根さんが流行したからなのか、それとも他に火付け役的な作品があるのかどうかわからないが、映画を紹介する漫画を時折目にするようになった。それを読む度に「映画を上手に、しかも面白く紹介するって難しいんだな」とつくづく思う。
 「木根さん」が秀逸なのは、映画紹介の形を取って映画ファンを鏡のように写し取る、もっといえば映画ファンの心を抉るような作品だから、そこが面白いのだと思う。紹介が主題ではない。「木根さん」自身の台詞から引用するなら「映画の話じゃなくて、映画を見てる人の話」なのだ。
 今巻でいうと、レンタルビデオ屋の主人などは、実在したらかなりヤバいレベルでおかしい(笑)。これも、映画ファンの一つの形をカリカチュアしたものなのだろう。だから「こんな店員いねーだろ」というのはナンセンスなのだ。いやホントにいたらごめんなさいするしかないが……。



 こちらは紹介記事を読んだことがあったので、続きを読もうと手に取ってみた。こっちは「木根さん」とは逆だ。映画ファンを写し取るのではなくて、あくまでも箆里さんという特異なキャラクターを魅せることに特化している。映画の紹介は、あくまでもそのためのツールだ。



 作者はこんなことを言っているが、これ自体が一種の諧謔なのだろう。何しろ今作は、箆里さんの映画の解説が「とてつもなくヘタクソ」という前提に立っている。面白く紹介してしまったら物語が成立しない。レビューが下手だというのは、演出意図どおりであって、ある意味褒め言葉なのだ。なので、取り上げられている作品は「既に広く知られている」か「この先見ようという人があまりいない」という方が良いのだろう。また、そういう観点で選ばれているようにも見える。
 なお、明後日までだが、現在公開の最新話は「魔法少女まどかマギカ」である。



 読んだ瞬間突っ込みたかったんだけど……箆里さん……これ劇場版じゃなくてテレビ版のレビューです……(笑)。