毎回最悪更新


 グルメの後にサイコロと付くだけでこの絶望感よ……。

コロコロ少年の思い出(14)・「鉄騎兵とラヴィアンローズデウス・エクス・マキナ

 唐突だが、貴方のプレイグループにデウス・エクス・マキナはいただろうか。ここでいう「デウス・エクス・マキナ」は、トーキョーNOVAのニューロの神業ではなく、本来の意味の(?)デウス・エクス・マキナである。
 私たちのプレイグループには、それが存在した。プレイヤーたちは、それを「鉄騎兵」と呼んでいた。

 使い方はこうである。例えばとあるシナリオで、ゴブリン退治を頼んできた依頼人に、プレイヤーが「こいつ金持ってそうだから殺して身包み剥ごうぜ」と言い出したとする。すると、どこからともなくフルフェイスのヘルムを被り、ガチガチのフルプレートを着込んだ騎士の集団がやってきて、PCたちを蹂躙するだけして去る。
 この鉄騎兵に名前はなく、会話や交渉をする余地もない。黒野さんたちのキャンペーンに登場した「グダグダ空間を巻き戻すためだけ」のような存在で、伏線も脈絡も、状況も無視して登場する。ダンジョンの最奥でラスボスと手を組もうとしたPCの前にも、“水中呼吸”の魔法で海中都市を訪れて毒を撒こうとしたPCの前にも、説明は一切なく現れる。

 ここまで書けば、使い方はお分かりだろう(笑)。要するに、暴走したプレイヤーを制止するための存在だ。当初は本当にPCの命を奪っていたが、時が経つと、時間を巻き戻してなかったことにしたり、あるいは鉄騎兵が接近する軍馬の蹄の音を聞いただけで「……というのは冗談で……」とプレイヤーが回避するようになったりした。
 ただ、私自身はどちらかというとプレイヤーの無茶振りを拾う方だったので(典型的なアドリブマスターのやり口)、他のGMのほうが使っていた。CD&Dだとアーマークラスー30、HP3000、ランスチャージでダメージが10D10とか、オーバールールという言葉が恥ずかしくなるようなデータだった気がする。
 これも毎度のネタになるが、例のガンダム好きのプレイヤーの場合だけは、鉄騎兵が現れる代わりに、ファンタジー世界の酒場が舞台だろうがダンジョンが舞台だろうが、静止衛星軌道上のラヴィアンローズから艦砲射撃が浴びせられ、町やダンジョンごと消滅する(そしてなぜか艦橋でハマーン・カーンがバラの香りの紅茶を飲む)という演出だった(笑)。


 今でいえば、オンラインゲームのGMとか、そんな感じだろうか。プレイヤーのマナー違反にマナー違反で対抗しているわけで、「お互いに配慮する」ということを知るにつれて鉄騎兵の出番もなくなった。逆にいえば、若い頃はこういった存在に頼っていたプレイグループもあったのではないだろうか。あの菊池たけしさんですら、若い頃は依頼を受けずにファイアーボールで酒場を燃やしたことがあると語っていたくらいだし(なお、うろ覚え)。
 ただ、後になって当時のことを思い出し、どうしても一つ気になることがあった。この「鉄騎兵」、私の中では、FF12のジャッジが軍馬に乗ったような、かなりはっきりとしたビジュアルイメージがある。他のプレイヤーも当時そう語っていた。
 本来、こういう役割のキャラだから、別にドラゴンだろうと大魔法使いだろうと何の姿をしていようと変わらないはずだ。共有イメージがあったということは、何か強い印象を与えるモチーフがあったはずだが、「軍馬に乗ったフルプレートの騎士が蹂躙してくる」というイメージの元ネタが思い出せなかった。ロードスでフルプレートというとアシュラムくらいしかいないし、CD&Dのシナリオにも出てこない。そこがずっと引っかかっていたが、ある時レトロゲームのプレイ動画を見ていて思い出した。



 これだわ……。何故思い出せなかったのか不思議なくらいわかりやすい。何の説明もなく、伏線もなく、PC全員を皆殺しにしてくる存在。当時は他にあまり例を見ない、新鮮なインパクトがあった。当時のプレイヤーたちは皆、これを想起していたに違いない。


 なお、何故このネタを14回目に持ってきたかというと、もちろん「14へ行け」からである(笑)。