深かった


 凄い深い。エモい……というのとはまたちょっと違う、寂しさと悔しさと感動が交じり合ったような、複雑な心境だ。
 コメントでも指摘してる人がいるけど、実はこれに先立って、二人のラジオでこの曲について触れている。



 このラジオと、この曲の元のPVを見て改めて思ったが、リゼのいう「転機」は恐らくVtuberとしてのデビューのことを指しているのだろう。対して、るるはアイドルの卒業の話をしている。つまり、二人はこの時点でもう違うものを見ている。PV自体も元曲のPVが一人の人間の学生生活とアイドルを対照しているように、Vtuberとしてのリゼと、ここでその歩みを止めるるるが対照となっている。
 こういう関係性を巧く表現する言葉が見つからない。世に言うてぇてぇではないし、戦友というのが近いだろうか。同じ未来を見ていても、この曲をちょうど境にして、全く反対の方向を見つめる二人。PVの中の二人も、全く視線を交わしていない。歌詞が一々刺さるのも、また何とも言えない……。
 しかし、だからこそ貴重なんだろう、とも思う。二人の時間がたまたま交差する瞬間を、視聴者は見ている。それは恐らく、とても幸運なことだ。


 ちなみに、時折鈴原るるの未来の幸運を祈っている人を見かけるが、私はそれはしない。私はVtuberは中の人(魂)だけではなく、絵を描いた人、それを動かすシステムを作った人、関わるスタッフが作り上げた、一つの「作品」だと思っている。前にVtuberには敬称をつけないと書いたのは、フィクションの作中登場人物に敬称をつけないのと同じ理由による。
 だから「鈴原るる」という「作品」には(復帰することがない限り)「未来」はあり得ない。魂の人がこの先どのような道を歩もうが、「鈴原るる」の存在はここで最終回、完結なのだ。ただその代わりに、魂の人の未来の幸運を祈りたい。彼女の選択に幸あれ。