ふと書店で見かけ、4巻まで買っていたのに最終巻だけ持っていなかったことに気がついて、慌てて買った。インサイド・ヘッドの回の凄いオチには驚いたが、ネタバレになるのでここでは触れない。
一応この本に登場する作品については概要を調べることにしていたのだけど、最終話に登場した「つぐない」という作品で、準主役としてスター・ウォーズのキーラ・ナイトレイ、X-MENファーストジェネレーションのジェームズ・マカヴォイ、ドクター・ストレンジのベネディクト・カンバーバッチが出演すると知った。ちょっと見てみようかと思ったものの、概略を読んだ時点で「これは無理」となってしまった。
というのも、この作品の主題である「思春期の少女の嘘のせいで周りの大人が破滅する」というプロットが、私が幼少時に見て酷い目に遭った作品にそっくりだからである。「噂の二人」だ。この作品については、前にFGOのアビゲイル・ウイリアムズについて書いた時にタイトルだけ触れたことがあるが、今回はもう少し詳しく書く。
前にマイ・フェア・レディ(セングラの「ドリームズ・ウィル・ネバー・ダイ」)のエントリでも書いたように、母親がオードリー・ヘップバーンが好きで、それで見たのだと思う。視聴後家族の食卓が凄い雰囲気になったのを今でも覚えている。
以下、古典的作品であるが「噂の二人」の結末部分に触れるため、念のため折り畳む。
簡単に紹介すると、寄宿学校の教師をしている親友同士の二人の女性が、女生徒の一人に「二人は同性愛者でいかがわしいことをしている」と嘘を吐かれ、生徒には去られ、裁判でも偽証のため敗訴してしまう。最後には女生徒の嘘がバレるものの、時既に遅く、二人のうち一人は自殺し、一人は恋人と別れ無言のまま去っていくのがエンディングという、バッドエンドなんてレベルではない終わり方である。
勿論二つの作品には何の関係もないが、私には「つぐない」の主人公が、どうしてもこの「噂の二人」の女生徒、メアリーに被って見えてしょうがない(またこの子役が非常に憎たらしくて演技力が凄い)。あのメアリーが大人になって殊勝な態度になり、償いと称して小説を書いたとして、マーサとカレン(「噂の二人」の主人公)が許せるかといったら許せないだろう。これは自分の先入観に過ぎないことは重々承知しているが、私にとってはこの作品の設定そのものが、どうしてもフラットな視点で見ることができない類のものなのだ。
男子については「蝿の王」、女子については「噂の二人」。これが「子供は純粋な存在なんかではない」と視聴者に思い知らせる映画の代表格だと思っている。