サイバーサイコ誕生秘話

 今回は、サイバーパンク2077のクイックハック、サイバーサイコシスの話をしたいと思う。なお、PS5版はクイックハック状態でスクリーンショットが撮れないので、今回のスクリーンショットは全てPS4版のものである。



 最近ナイトシティに行くと、このサイバーサイコシスを使って遊ぶのが日課になっている。まずクイックハックのサイバーサイコシスとはどういうものかの説明からしていこう。
 これはエッジランナーズで言われていたような「サイバーウェアを入れすぎて人間性を失い発狂する」という、本来の意味でのサイバーサイコシスではもちろんない。ネットランナーのハッキングの技術で他人を発狂させるというクイックハックである。つまり、これはサイバーウェアを入れすぎたかどうかとは直接関係がない。



 このクイックハック、サイバーサイコシスをゲーム的な面から見てみると、実用性は決して高くはなく、同じクイックハックならシステムリセットの方が実用性は高い。一見すると、敵が発狂して同士討ちしだすというのは便利そうに思えるが、システムリセットをかけると相手は即死するのに対し、サイバーサイコシスは元々敵が持っている武器の威力がそれほど高くないために、敵が死ぬまで時間がかかる。
 後はクイックハックの性質として、仕留め損ねた場合、こちらを感知するという特性がある。サイバーサイコシスを使うと相手は発狂して仲間に向かって銃を撃ち出すものの、こちらのこと自体は認識していて、周りに撃つ相手がいなくなると、こちらを狙ってくる。敵同士は似たような火力で似たようなヒットポイントを持っているので、持っている武器にもよるが、どっちが倒れるかは正直運である。自分が発狂させた方が生き延びるかもしれないし、そうでない方が生き延びるかもしれない。
 どちらが生き延びても、隠れていない限りこちらを攻撃してくるので、対象を無害化するのに時間がかかりすぎる。同士討ちさせることで、こちらがいわゆるステルス状態を維持できるなんていう効果もない。

 では、なぜサイバーサイコシスを使うかというと、これはもう純粋に趣味というか、見てて面白いからという話になる。
 基本的には、クイックハックが可能な相手は指名手配を受けている賞金首だが、仲間たちとは普通に雑談をしていたり、写真を撮り合ったり、あるいは一緒にテレビを見ていたり、キャラによっては壁に落書きをしていたり、思い思いに過ごしている。



 中には近隣住人と友好な関係を築いているというか、一緒にラジオ体操をしているようなギャングもいる。



 そんなNPCが、サイバーサイコシスを仕掛けると突然お互いに罵声を浴びせ合う。今まで仲がよかったものが「サイコを静かにさせろ」とか「こっちへ来るなバカ」とか……。被害にあった本人はちゃんと「ネットランナーにやられている」と真実を訴えてたりするけれども、そう言いながら仲間に向かって発砲しているから、信じられていないというよりは、反撃しないと殺されるという理由で、結局仲間から集中砲火を浴びてしまう。



 その様がなんというか、子供の頃の悪戯で、砂場にあったアリの巣に水を入れていくような昏い楽しみがある(笑)。一応言い訳をすると、あくまでもクイックハックは賞金首にしか仕掛けられないものなので、こいつらはゲーム内で悪の限りを尽くしている連中──恐らく一般市民を食い物にしているギャングたちなので、ゲーム内では自業自得のはずだ。
 ただ、サイバーサイコシスって楽しいよね、だけでは記事にならないので、これを使っていて気付いたことについて書いていきたい。

通報される相手、されない相手

 サイバーサイコシスを含めたクイックハックの対象になるのは、基本的には「賞金首のギャング」と先程書いたが、実はこの中に例外がある。この例外の説明をする前に、ナイトシティのNPCには一体どんな種類があるのかというのをまず説明しよう。
 まずは一般市民だ。このゲームの一般市民は、ヒットポイントを持っておらず(ゲージが表示されない)必ず数発で死亡する。攻撃すると反撃はせず逃げ惑う。これを殺傷すると犯罪になり、警察から手配される。この市民に対しては、メニューが表示されず、クイックハックを仕掛けることができない。



 次に、賞金首になっているギャングだ。彼らにはクイックハックを仕掛けることができる。そして、殺傷しても指名手配になることはなく、主人公であるVは賞金稼ぎとして賞金首を倒すと報酬金が支払われる。



 この賞金首の最たるものがサイバーサイコで、ボスキャラとして特殊なヒットポイントゲージを持っている。専用のBGMがあり、クイックハックはできるものの、例えば一撃で殺すことができるシステムリセットは効かないとかそういう特殊な扱いをされている。



 もう一種類が警察官だ。これはヒットポイントゲージを持っていて、銃器や近接攻撃の対象にはなるけれども、クイックハックは仕掛けることができない。警察官にもいろいろなタイプがいるが、どれもハッキングの対象にはできない。



 また、これは私も確認していないのだが、クイックハックを弾くサイバーウェアを入れているという設定のギャングはクイックハックができないという話を聞いたことがある。もっとも、そういうギャングに遭遇した機会がほぼないので、どこのギャングにハッキングが効かないかというの把握できていない。

 基本的にはこの3種類(あるいは4種類)と思っているプレイヤーが多いのではないだろうか。つまり市民/警官/ギャングだ。
 ところが、サイバーサイコについて調べてるうちに、どうやらこの他に別のタイプのNPCがいるらしいことがわかった。それは企業に所属するコーポレートで、賞金首ではないにもかかわらず、クイックハックの対象になる。R1ボタンで相手の情報を調べても賞金首にはなっておらず、所属組織の情報が出るだけだ。しかし、これをクイックハックで倒しても、手配はされない。ミリテクやアラサカのコーポレートがこれにあたる。ギャングと似たような感じだが、賞金がかかっているかいないかという違いがある。



 そして本当に最近気づいたのが、同じコーポレートであっても、扱いが異なるNPCがいるということだ。それがトラウマチームである。下の写真はファストトラベル缶詰工場の側で撮ったものだが、このNPCはトラウマチームのメンバーで、警官ではない。企業所属なのでアラサカやミリテクと同じ扱いかと思い、このトラウマチームのNPCをハッキングすると、警察から手配される。つまり一般市民や警察官と同じ扱いだ。それならそもそもハッキングできないのが正しいんじゃないかという気がするが、トラウマチームに対してはハッキングは有効で、ハッキングすると手配されるというちょっと変わった扱いである。



 さらに面白いのが、今回紹介したサイバーサイコシスのクイックハックについてだ。トラウマチームにサイバーサイコシスのクイックハックを仕掛けると、仕掛けた瞬間ではなく、同士討ちから生き延びた瞬間に手配がかかるようになっているのだ。



 実はもう一つ興味深いケースがある。先程のトラウマチームをハッキングした場所のすぐ隣にいる警官だ。先述のとおり警官はハッキングできないが、警官が連れているロボットは何故かハッキングの対象になる。



 これにサイバーサイコシスを仕掛けて発狂させ、近くにいる警官を襲わせる。そうするとやはり似たように同士討ちを始め、警官が生き延びた瞬間に手配がかかる。逆にいうと、生き延びなかった場合、つまり同士討ちで双方が死んでしまった場合などは、警官やトラウマチームを思いっきりハッキングしているのに、一切手配がかからない。普通に戦闘で倒すと当然手配されるので、それを避けるという点ではメリットのある方法だ(運絡みになるが)。



 ちなみに、ギャングにサイバーサイコシスを仕掛けて、最後にギャングが一人だけ生き延び、かつこちらを感知していない状態──つまり物陰からハッキングしてすぐに物陰に身を隠したり、あるいは光学迷彩を使っている状態でハッキングしたなど、相手がこちらを視認できない状態でサイバーサイコシスを仕掛けて最後の一人になった場合、なぜか敵は自殺してしまう場合がある。



 自責の念に堪えかねたということでもないだろうが……。逆にハッキングしていない方が生き延びると、特にその後何をすることもなく元の場所へと戻っていく。