復活のモリガン


 モリガンっていうと、ヴァンパイアセイヴァー以降は性能が抑えられた不遇なキャラっていう印象が強かったんだけど、まさかマヴカプでこんな猛威を振るっていたとは思わなかった。ただこれで、モリガンが強い作品というのはシェルキックが使える作品で、それが使えない作品はモリガンが不遇な作品だというのがよくわかった。しかし、飛び道具の削りだけでこれだけ減らせるのはいくらなんでもやり過ぎな気がする。
 ところで、昔「マヴカプだとマーベルキャラが強くないとアメリカ側にものすごく抗議される」という噂を聞いたことがあるんだけど、このゲームで強キャラとされているバージルにしてもモリガンにしても、よくこのバランスでマーベルが納得したなぁ。

未完成のTRPG

 昨日の日記で「パスファインダーが出版点数が少なくて残念だった」という話を書いたけれども、これまでの長い日本のTRPGの歴史の中では、これ以上に不遇な作品というのもたくさん存在する。
 この業界、特に昔はそうだったんだけど、雑誌連載で「新作を出します」といって結局出ないとか「サプリメントを出します」と言って結局出ないなんていうのは日常茶飯時だった。個人的にそれが多かったのがログアウトで、白狼伝というTRPGは大々的に特集していたのに出なかったし、ジェイドキングダムという作品も結構力を入れていた風だったけれど出なかった。


ja.wikipedia.org


 これらはテストプレイもしていたしリプレイも掲載されていたから、ルールが完成しなかったというよりは、発売しても採算が合わないと判断されたんだろう。最終的には雑誌の廃刊に巻き込まれたイメージだ。
 翻訳物も例外ではなく、むしろ本国で出たものが一冊残らず全部翻訳された作品なんて当然ながら存在しない。

 ただ、そんなTRPGの中で、非常に印象に残った作品というのが一つある。今では知っている人も少ないと思うが「マイトレーヤ」という作品である。



 どういうTRPGかというと、ブックタイプで307ページ、文章だけでもかなりの分量があり、様々なキャラクタークラスとか、コンバットオプションのバリエーションとか、多数のルールがあるが、なんとこのゲーム、戦士しかできない(キャラクタークラスは全て戦士のバリエーション)。
 魔法が存在しない世界だというわけでもなく、世界設定を紹介するページではちゃんと「魔法が存在する」と書かれており、どんな魔法系統があってどんな設定か等々紹介されているにも関わらず、魔法に関するルールが1行もない。表紙に「ソードシステム」と書かれているので、いずれは「マジックシステム」が出る計画だったのだろうが、結局出版されなかった。
 するとどうなるかというと、このゲーム、剣と魔法の世界で遊ぶゲームでありながら、パーティには戦士しかいないゲームになってしまう。サンプルシナリオも掲載されていない。ルールの分量は多いものの、Wikipediaに書かれているとおり食料の種類が多い割にモンスターの数が少なかったり。後は戦闘時の行動オプションがやたら多く、TRPGというよりむしろ、個人級戦術シミュレーションゲームなのではないかという印象だった。AFF、IR、CCF、KCFのように他のゲームではあまり使わない略号が山ほど出てくる辺りもそれを後押しする。
 前に「これで遊ぶのは罰ゲームだと思っているゲーム」として、学園パラダイスとMAGIUS天地無用、混沌の渦の話をしたが、その時にこのタイトルは出さなかった。その理由は、先述のゲームは「遊び方は分かるけれども、面白くできる自信がない」という意味で罰ゲームなのだが、マイトレーヤについては本当に遊び方がわからないゲームだったからだ。罰ゲーム以前である。
 ダンジョンズアンドドラゴンズであれば、プレイヤーハンドブックは出たがゲームマスターハンドブックが出ないまま展開が終わるようなものだ。基本ルールしか出ない、あるいは基本ルールすら出ないゲームはいくつもあるが、基本ルールが明らかに欠けたまま中途半端に出て終わったというゲームはさすがに珍しい。