この日を待っていた!


 この日をずっと待ってた!

ついに終わりか……


 ロール&ロールの今号で、ついにパスファインダーRPGの連載記事が最終回となったようだ。公式ホームページの更新も3年前で終わっているし、恐らく今後の展開は望めないだろう。


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 現段階で振り返ると、実はこのパスファインダーRPG、日本で発売されたダンジョンズアンドドラゴンズ系のTRPGの中で、関連書籍の出版点数が最も少ないゲームとなってしまった。ルールブックが2冊と初心者向けセットのみだ(紛らわしいが、パスファインダー・アドベンチャーボードゲームであって、TRPGサプリメントではない)。




 かつて展開の早期終了がよく嘆かれた*1新和版のアドバンスドダンジョンズアンドドラゴンズはどうだったかというと、基本ルールセットのプレイヤーズハンドブックとダンジョンマスターズハンドブック、モンスターコンペディウム(ここまでがパスファインダーでいうところのコアルールブックとベスティアリィに相当する)。パスファインダーでは初心者向けのビギナーズセットが出たが、日本語版AD&Dではそれがない代わりにファイターズハンドブックという特定の職業向けのガイドブックが出ていた。
 その他の部分で比べると、パスファインダーの方は出版物の他に公式ホームページにシナリオが一本掲載されている。もちろん、これまでのロール&ロール紙でのサポート記事はあったけれども、新和AD&Dの場合はそれのみを扱う120ページほどの専門誌(オフィシャルD&Dマガジン別冊)が7冊発売されているので、サポートという意味では840ページほど。ロールアンドロールのサポートは1号4ページほどで、5年間毎号記事があったと仮定しても及ばない。

 次に出版点数が少なかったのはメディアワークス版の、SNEが手掛けたD&Dだ。こちらもルールブックが3冊。ただしシナリオは評価の高い大ボリュームのものが2本あり、電撃アドベンチャーズという雑誌のサポートも存在していた。こちらは何よりリプレイシリーズが完結まで出版されており、初心者向けのガイド、あるいは入り口になっていたと思われる。



 普段、普通のTRPGであればそんなに一つのシリーズの出版点数をもってどうこう評価することはないけど、パスファインダーがことさら残念という気分になるのは、元々このゲームの成り立ちが、ダンジョンズアンドドラゴンズが4版に版上げした時に「3版の膨大な量のサプリメントやシナリオが使えなくなるのは惜しい」という理由でパイゾが作ったものだからだ。
 つまり、豊富なサポートあってこそのパスファインダーだったわけで、それが難しいのであれば、それこそ「ダンジョンズアンドドラゴンズの新版の展開で良かったんじゃない?」っていう話になるし、「3や3.5版のシナリオなどがちょっとの修正で使えるようになるよ」というのを売りにするのだとしたら、「3や3.5版の関連書籍を今更中古で探すなら、ルールブックもセットで探すだろう」という話になってしまう。
 特に私が残念だったのは、前にもちらっと書いたことがあるんだけど、パスファインダーRPG独自というべき、世界設定のサプリメント(惑星Golarionを舞台とする"Pathfinder Chronicles"キャンペーン)が翻訳されないまま終わったことだ。あとは、日本語版の発売から間もなく、本国では版上げをしているのに、そのこと自体にも雑誌記事ではあまり触れられていなかったので、そこもどうなんだろう、とは思う。


*1:Wikipediaには「日本語版は株式会社新和より1991年に発売されたが、基本ルールブックと数冊のサプリメントが翻訳されただけで展開は休止したため、「大量のサプリメントで幅広い冒険が楽しめる」というAD&D最大の魅力が提供できていたとは言い難い。」とある。