先日のめくりとか中段攻撃の話に対して、こちらの話は私はあんまりしっくり来ない話である。というのも、私が格闘ゲームの攻略記事を追っていたのはアルカディアやゲーメストなど紙メディアの話で、それらでは「テンキーの数字を使って方向レバーを表現する」という習慣はなく、レバーの方向はインストカードと同様矢印で表記されていた。それがテンキーの数字で表されるようになったのは、ネットに攻略記事が出てくるようになってからではないかと思う。
私はネットの攻略情報はあまり追っていなかったので、いつしか数字表記が主流になった時、結構戸惑った。236Pと言われても咄嗟に波動拳コマンドが浮かんでこないなどだ。友人との間で話をする時は、「下、右下、右」を「波動拳コマンド」と言ったり、「左、左下、下、右下、右」をヨガフレイムコマンドと言ったり、そのコマンドを入力する代表的な必殺技の名前を挙げて、レバー入力を表していたりした。これでも、例えば有名なブラッディフラッシュみたいな長くて複雑なコマンドでも「斜め前の後ヨガフレイムコマンド、斜め後ろの後前+ボタン」なんていう風に言葉をつなげれば表現はできる。
そして有利フレームと不利フレームの考え方についても、レバー入力の数字表記と一緒で紙メディアの時代には……というより、2D格闘ゲームの時代にはあまり言われていなかったような気がする。当てて何フレーム有利とか何フレーム不利という言葉ではなく、漠然と「当てると有利」とか「ガードされてもほぼ反撃を受けない」とか、あるいはもっと曖昧な表現である「判定が強い」という表現で言われていた。
この判定が強いという言葉は「やられ判定に対して攻撃判定が大きく設定されていること」や「発生までのクレームが短いこと」、「発生後の持続フレームが長いこと」「技が終わった後の不利フレームが短いこと」などを包括的に評価した、非常に曖昧な表現だった。今ならフレームという単位を使って、より厳密に表現されるのだろう。
その後に説明されている(キャンセル付き)コンボについては、災い転じて福となすとはこのことだと思う。何しろ単純なバグだったはずなのに、後続のゲームがこぞってこのシステムを真似したのだ。偶然から生まれたアイデアがいかに秀逸だったかという話である。初代スト2には他にも真空投げとか色々なバグがあったにもかかわらず、システムとして後続のゲームに取り入れられていったのはこれだけだった。