得意を捨てたから


 本当に私の個人的な主観的な意見で申し訳ないんだけど、この3つのゲームが今一つ受けなかった理由は、私は共通する部分があると思っている。

 まず1つ目は、今現在順風が吹いているとは言い難い、プレイステーションプラットフォーム独占にしたことだ。フォースポークンとファイナルファンタジー16はまぁ仕方がない──吉田氏は古いハードウェアをバッサリ切るので有名だし、映画的表現を優先したいから一番グラフィック性能がいいハードで出します、っていうのはわかる。しかし、ダイの大冒険のこのグラフィックのクオリティでSwitch版を出さない理由あった? っていう。
 前にグラフィックのクオリティが低いと指摘を受けて作り直したらしいけど、その時にグラフィックの質を向上させるんじゃなくて、対応プラットフォームを増やしてSwitchでも出せばよかったと思う。それだったらグラフィックのクオリティが多少低くてもSwitchと同時だからしょうがないよね、みたいな流れになったんじゃないだろうか。このクオリティで、今のこの情勢で、プレイステーションハード以外では一切出さない、っていうのは、それだけで非常に大きいハンディだ。

 それともう一つ、これは最新の時勢に合わないのは承知の上で敢えて言わせてもらうけど、3つともアクションRPGにしてしまったことだ。特にFF16は、巷の評価を聞くとそれが如実に出たという印象だ。ストーリーもマップも一本道で、やりこみ要素もなく、脇道もない、街もロクにない、っていうのは、これがアクションゲームだからだ。
 アクションが苦手な人用にアイテムを用意するよ、というのはそれはFFの最新作をアクションゲームに変更したことそのものへの回答ではない。それこそアトラスのペルソナなんかは旧来のコマンドバトルを改善しつつ、今の時代に即した形に進化させている。ベヨネッタの制作者を連れてきて、今の流行はアクションRPGだからアクションRPGにしましたと言われても、FFにベヨネッタを求めていた訳ではないユーザーは離れるだろう。というか、私の中ではもうプラチナゲームスはベヨネッタというよりバビロンズフォールのメーカーなのだけれど。ストーリーが云々って言われてるけど、ぶっちゃけストーリーがクソでも、ゲームとしてちゃんとできていれば評価してくれるプレイヤーはいる。
 結局3つのゲームはどれも、メーカーがゲームとしての面白さを求めなかったから、プレイヤーがついてこなかった。今ドラクエの最新作も制作中らしいけれど、安易に今の世の流れに迎合してドラクエアクションRPGにしてしまったりしたら、それは今王者として君臨している階級をわざわざ捨てて、地獄の減量をして他の強豪がひしめき合っている階級にわざわざ降りていくようなものだ。



 ペルソナの大ファンの私でも、ペルソナ5タクティカは買うつもりがない。それは、これが私が苦手なタクティカルRPGだからだ。ことほど左様に、ゲームのジャンルというのは非常に重要なものだ。他の要素ならともかく、ゲームのジャンルそのものを変えるということは、今までのユーザーを切り捨てるというのと同義だと思う。ペルソナが許されるのは、あくまでもこれが外伝だからだ。ドラクエがFF16の「失敗」を教訓にしてくれることを願うのみだ。

 あと、スクエニ損切りが早すぎる。2077が発売当初滅茶苦茶酷評された後、地道に修正を繰り返して高評価を得たような熱意が、今のスクエニからは感じられない。かつて吉田氏がFF14を復活させたのはその「熱意」だったはずなのだが。
 では、動画内で言われている「スクエニはいつからダメになったのか」は、明確なターニングポイントがあったように傍からは見える。それは、ある社長が就任してからだ。以来、慣れない洋ゲーローカライズ等に手を出すなど、利益至上主義に傾倒していった。スクエニは今も、その影響から逃れられていない。