ゼルダの異端児


 リンクの冒険は、ゼルダの冒険の続編でありながら前作と異なる横スクロールアクションゲームであり、同じような展開を辿ったイースと比較されているのを時折見かける。イースも1と2がトップビューのアクションゲームで、3がサイドビューのアクションゲームだ。しかし、このタイトルの状況は実際にはかなり違うと思う。
 イース1と2は「人に優しいRPG」を謳う、謎解きもほとんどない普通のアクションゲームであり、3も方向性は変わっていない。それに対し、ゼルダは基本パズルゲームというか、謎解きゲームの側面がある。レベルという概念もないし、ゴリ押しでは先へ進めない場面がちょくちょくある。顕著なのはスーパーファミコン神々のトライフォースだ。
 しかしリンクの冒険は、ゼルダの伝説の続編でありながらレベルの概念があり、経験値稼ぎの概念もある。謎解きがほとんどなく、敵と戦うアクションが主で、ゴリ押しもできるゲームだ。
 つまり、イース1、2から3というのはサイドビューとトップビューという見た目が変わっただけだ。しかし、ゼルダの伝説リンクの冒険はゲーム性そのものが全く異なる。それも、ゼルダシリーズの中ではリンクの冒険だけがかなり異質だ。そういう意味で本作は異端児で、後続のシリーズでリンクの冒険の系譜に連なる作品というのはないんじゃないかと思っている。