やっぱシスターのフレンズ


 大室家の劇場版第2作、Dear Friendsを見てきた。


 以下劇場版のネタバレを含むため折り畳み。














 今回は、主に原作4巻から6巻のエピソードを中心に構成されている。

 見ていてわからなかったシーンが2か所あって、1つ目がみさきちとの関係で櫻子に相談する花子のシーン。これは「結局みさきちがなぜ不機嫌だったのか」という理由が明かされなかったけれど、原作でも明かされないままだったので、原作通りということになる。
 もう1つは「ハーゲンダッツの特定のフレーバーを食べたことを、向日葵から突っ込まれる櫻子のシーン。これは原作に該当するシーンが見つけられなかった。
 原作と違う印象を抱いたところがあるとすると、撫子が恋人と気まずくなるシーン。これは原作では60話で、仲直りするのが66話。原作は背景が省略されている関係で季節感が掴みづらいが、登場人物の服装からすると60話から66話までの間、少なくとも制服は夏服だし、夏を回想するエピソードも入るので、夏の間のエピソードなのかな、という印象だった。しかし、劇場版ではすれ違うシーンが夏で、その後に秋のエピソードを挟み、仲直りをした直後に冬のエピソードになるので「もしかして半年近くすれ違ってたのか?」という印象になった。もっともこれは、受け取る側の解釈の問題だとは思うんだけど。

 全体としては、原作に非常に忠実なのだが、本当に正直な感想をいうと、これは「テレビシリーズ大室家の1クール、12話の中からエピソードをピックアップして、1時間にまとめた作品」に見えてしまった。個々のエピソードは原作のままなのだが、映画として通しで見ると、起承転結が分かりづらい。作品の性質上、それを非常に作りにくいというのはわからなくもないのだが……。
 直前に見たのがぼっち・ざ・ろっくだったせいもあるかもしれない。あちらは原作は4コマ漫画だけれど、ちゃんと映画としてエピソードの順番を変え、キーになるエピソードを冒頭に配置し、それに呼応するエピソードをラストに持ってきて映画版としてのオチがちゃんとついている。それに対して、大室家は本当にショートエピソードの連続なので、終わったところで「え? これでおしまい?」という印象が強かった。
 後は、今回は登場する「Friends」がほぼ撫子の友人で、花子の友達の出番が少なかったように見えた。ごらく部メンバーを出してしまうとゆるゆりになってしまうから、向日葵以外の櫻子の友達が出てこないのは分かるとして、他に何か理由があるのだろうか。

 ちょっと厳しめの感想だが、テレビシリーズならちょうどいい空気感になると思うので是非……と言いたいところだけれど、劇場版2作品で原作のかなりのエピソードを消費してしまっている。それが、本作が劇場公開になった本当の理由なのかもしれない。