退学生徒会の話

 今日は、昨日の日記で書ききれなかったことをちょっと補足したい。動画内で触れられていた、通称「退学生徒会(退学執行部?)」の話である(埋め込み部分)。



 過去の日記でも書いたことがあるが、動画内で述べられている「他のプレイヤーから選挙で選ばれた生徒会長でありながら、単身で敵ボスのところへ乗り込んで返り討ちにあい、洗脳される」というキャラクター。ストーリーの進行上、私は該当人物をNPCだと思っていたのだけど、後々PCだったと知ってかなり驚いた。当時どのようなアクションやリアクションが交わされたのかはわからないが、プレイヤーキャラクターだと考えると、「決断」でも「アイデア」でもない、1プレイヤーの「プレイミス(?)」が、後々の学園の歴史に大きな影響を与えたことになるからだ。
 この「返り討ちにあった生徒会長」のその後については、動画内ではあまり深く掘り下げられていない。実際には、彼女はその名の通りの単なる「退学」だけではなく、古代ローマでいう「記録抹消刑」にされている。その年の生徒会メンバーを調べると、唯一学園に平和を取り戻すために尽力したといえる副会長以外、当時の生徒会執行部全員の名前が記録から抹消され、その年には生徒会副会長以外いなかったような扱いになっている。
 私のようにリアルタイムで90年動乱に参加しておらず、後から蓬莱学園のことを調べ始めた人間からすると、TRPGサプリメントも含めてあれだけ沢山の資料が存在するにも関わらず、前生徒会長の名前という単純な情報だけが不明のままという状態で、前回も書いた「蓬莱学園の復刻」という復刻資料がなければ、恐らく私はその名前すら知ることはできなかっただろう。考えようによっては現実世界とゲーム世界がリンクしているとも言える。ゲーム内で記録が抹消されているから、現実世界のTRPGの資料にも一切記載しない、と。


試験に出る蓬莱学園!

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 ちなみに、何故私がこの「退学生徒会」のことを気にしていたかというと、後にRPGマガジンの蓬莱学園の読者参加企画「蓬莱学園の競演」において、この退学生徒会の「書記」がゲストキャラクターとして登場するからだ。復刻資料と姓名が一致し、自分は学園を追放されている身で目立つことができないとコメントしているので、間違いないだろう。
 そのメンバーこそ、当時スタジオ世界観名義でRPGマガジンに連載記事を持っていた、菊池たけしさんのワープスやセブンフォートレスのリプレイにしばしば登場する「木更津サライ」というキャラクターだった。復刻資料によれば、このキャラクターは前述のとおり当時の書記であり、生徒会長とともに記録抹消刑を受けている。
 生徒会長のプレイヤーについては見当もつかないが、当時を知る古いTRPGゲーマーからすれば、「『木更津サライ』なら、プレイヤーは今も有名なあの人かもしれない」と推測できる。もっとも、この読者参加企画を除いては、その人が蓬莱学園のことを話題にすることもなかったし、逆に蓬莱学園側でも言及することはなかったけれど。

 さらに余談となるが、この記録抹消刑。記録を消すのはともかくとして、当の生徒はいったいどうなるのか。「蓬莱学園の初恋」という小説のベアトリスのコメントを信じるなら、「学園追放刑」とはすなわち「断崖絶壁から直接海に向かって追放される」という刑であり、「死刑と同義である」ことが示唆されている。
 ところが蓬莱学園の復刻の記事を見ると、食料とボートが与えられ、島を離れるよう命じられたという。しかも木更津サライ自身、読者参加企画の記事の中で蓬莱学院に戻ってきているということは、生徒会長も同様に命を長らえたのかもしれない。
 もっとも、恐らく巻き込まれただけであろうサライと違い、生徒会長は傷石と呼ばれる敵専用の応石で攻撃されているので、精神や肉体にどのような影響があったのかもよくわからないが。
 案外、後年「旧SS(生徒指導委員会)残党」などと呼ばれ学園で暗躍した人々の中に、彼女も混じっていたのかもしれない。