![ToHeart2 通常版 ToHeart2 通常版](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51jGrsZigOL._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: アクアプラス
- 発売日: 2004/12/28
- メディア: Video Game
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KOTYeなどのレビューを見ると「TH2は良かったのにTH2ADは酷い出来だった」ように書かれているが、私の感想はちょっと違う。元々TH2はキャラクターデザインもシナリオもキャラ毎にバラバラであるため、クォリティに差がある。はっきり言って無印の頃から、駄目なシナリオは駄目だった。特に「これはちょっと……」と思ったのはこのみ、環、珊瑚と瑠璃(シナリオは1本)。中でも瑠璃と珊瑚はHシーンも含めて「これはないだろいくらなんでも」という出来だった。元々TH2は全年齢版であとからそういうシーンを付け加えているから無理があるのは仕方ないが……。
逆によかったのは愛佳、由真、るーこ、優季だろうか。委員長がメインヒロインを差し置いて人気キャラなのは、単にグラフィックとかキャラ造詣だけでなく、背景にあるシナリオも含めてのことなんだろうと思う。
このみと環についてはクラナドと同様、「他人のシナリオではいい脇役なんだけど、自分のシナリオでは……」というパターン(なので、ADで追加シナリオがあると聞いて期待していたのだが、まさかそれ以下とは……)。
逆に残念だったのはPC版の追加キャラ「久寿川ささら」。彼女のシナリオは前半部分(卒業式まで)はとても面白いのだが、後半がグダグダ。貴明もささらも基本受け身なキャラなので、話が進まない。学校に立てこもる理由とかさっぱり。あと、ささらシナリオには他の有名なゲームの重要プロットと完全に被る部分があって、偶然なら調査不足、パクったなら論外レベルだ。
それは、ささらの「人の手が加わったものが食べれないのでカロリーメイトのようなものばかり食べている」という設定。ご存じの人もいると思うが家族計画の準とまったく同じ設定である。これだけ特徴ある設定が被っているのはまずいだろう。
さて、ADではよっちとちゃる、あとはるみと郁乃(Hシーン除く)のストーリーは比較的まともだと思う。まーりゃんのシナリオは、ギャグシナリオにしたのはなんでなのかとライターを小一時間問い詰めたいくらいである。
ほとんどのシナリオに共通するのが、どのシナリオのライターも「貴明は女性が苦手」っていう基本設定をすっぱり忘れてるんじゃないかっていう点。「女性が苦手でまともに会話したことない」「付き合ったこともない」「手も握ったこともなければ名前を呼び合ったこともない」と言ってる人間が「そんなこと」するわけねーだろ!*1郁乃シナリオの貴明と愛佳も正直本編シナリオとは別人じゃないかと突っ込みたくなるほどだった。
ここで雄二や第三者が貴明に代わって○○なことをするというシナリオにすれば違和感は減るが、そうなるとNTRゲーという別ジャンルのゲームになってしまう。全年齢版の最初のTH2については貴明の性格設定でもそれほど問題は起きなかったからかもしれないが、X指定のゲームとして移植する予定が元々あったのならなんでこんな設定にしてしまったのだろう。
翻ってみると、TH1の浩之は行動的で前向きな性格だったため、Hシーンに限らず全体的に積極的な行動をとっていても違和感があまりなかった。全体的にみると1の時から当たりシナリオ、外れシナリオがあったゲームだが、2に関しては共通部分に問題があったせいで全部に波及してしまったという、非常に残念なゲームだと思う。
ここまでボコボコに書いてきたが、じゃあ私がこのゲームが嫌いかというとそうでもない。可愛い女の子たちがキャッキャウフフするのを愛でる作品だと思えば、本末転倒だがシナリオは「二の次」。OVAシリーズでもドタバタを見ているだけでそれなりに楽しめた。一番大きいのは、これは1にも共通していえることなのだが、微塵も共感できないとか心の底から腹の立つような悪人が出てこず、理不尽、あるいは不条理で不幸な展開がないからだと思っている。だからシナリオには粗が目立っても、なんとなく許せてしまう。
例えは悪いが、私にとっては一流パティシエのスイーツではないけれど、昔ながらの味で安心して食べれるプッチンプリンみたいな存在だ。
*1:「そんなこと」には青○とか3○とか言葉○○とか好きな言葉を入れてもらって結構。