ローズ・トゥ・ロード (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
- 作者: 門倉直人
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2002/06
- メディア: 単行本
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D&Dと並んで日本で最も古い、背景世界を持つTRPG「ローズトゥロード」。そのユルセルームと呼ばれる世界には…。
魔国デュラと呼ばれる帝国がある。(ほぼ)悪役である。そして地図の北にある。なんともスタンダードだ。
デュラは邪悪な黒竜を飼いならし、黒竜騎士団と呼ばれる騎士団を組織している。地図上では北にあり、その意味では表題の条件を満たす立派な帝国である。
が、作中の存在感はそれほど大きくない。
これは、ユルセルーム世界を「いつ知ったか」という問題も大きいが、ローズトゥロードは版によって「四王国時代」「薄暗がりの時代」「大旗戦争時代(正確には薄暗がりの時代の末期だが)」と舞台になる時代が大きく三つに分かれる。
初代RtoLの舞台となる「四王国時代」は、どちらかといえば後のロードス島戦記やソードワールドに連なるような、国と国との戦争を主題としない、冒険者の時代である。デュラが他国に侵攻しているというのも情報としては存在するが、シナリオにはデュラそのものを敵とするものは少ない。なにより侵攻で冒険者達の故国ストラディウムが被害をあまりこうむっていないため、デュラの存在がそれほどの脅威になっていないのだ。
これが、続編の続編、ファーローズトゥロードの時代となると一変する。ストラディウムの宰相が魔族と取引し、叛乱を起こしたことで、デュラの侵攻を招き、ストラディウム王国を始め人間の世界は大混乱を起こす。シナリオもこの侵攻そのものを題材としたものが多くなる。
この「大旗戦争」におけるデュラは、まさに表題における悪の帝国そのものであると言えるだろう。ただ、ローズトゥロードというゲームで、この戦争を思い浮かべる者は少ないかもしれない。