ヤシマ帝国/統一帝国(エンゼルギアRPG)



 エンゼルギアというゲームを一言でいうと「エヴァンゲリオンをTRPGにしたもの」という身も蓋もない表現がぴったりくるのだが、こと「帝国」に関していうと、他ではあまり見られない変わった設定を持っている。

 エンゼルギアの世界は「第二次世界大戦で敗北した日本とドイツが無条件降伏しなかった世界」である。降伏しなかった(できなかった)のは、敵である「合衆国」が核兵器の代わりに「天使」と呼ばれる謎の存在(エヴァンゲリオンでいう「使徒」)を操り攻撃してきたためだ。
 天使は制御不能の兵器であり、攻撃された場所では降伏も和平もありえない。また合衆国側も和平する気は微塵もなく「徹底抗戦か絶滅か」の二つしか選択肢がなかったため、仕方なくヤシマ(日本)は領土の周りに結界を貼り、国土を滅ぼされて逃げ込んできた統一帝国(ドイツ)の亡命政府とともに何十年もの間鎖国を続けてきた、という設定である。
 そこに三発のミサイルが打ち込まれて結界が破られ、地球上の99%を支配する合衆国と1%のヤシマ・統一帝国の最後の戦いの火蓋が切って落とされた。通常兵器の効かない天使兵を倒せるのはただ一つ、最終兵器「シュネルギア」だけ…というのが作品のテーマである。

 このゲームには二つの帝国が存在し、互いに手を結んでいるが、それでも滅亡寸前なのである。PCはヤシマ帝国出身か統一帝国出身かを選べるが、それは「あっちのジリ貧とこっちのジリ貧とどっちを選びますか」という程度の意味しかない。


 ヤシマ帝国、統一帝国は悪役ではない。地図は四方全て敵である。


 取り上げるゲームもいよいよ残り二つ。本当は迷宮キングダムの「ダイナマイト帝国」とか、カオスフレアSCの「テオス」とかにも触れたかったのだけれど、実際のプレイで遭遇したこともなく、登場させたこともないので泣く泣く割愛した。

 一つは想像がついている人もいるかもしれないが「強大な帝国に抗う冒険者たちが主役となるゲーム」。
 もう一つはちょっと難しい。「強大な帝国が存在し、それに抵抗する人々もれっきとして存在しながら、帝国自体はどんな国だかさっぱりわからず、その広大な領土がPCの目に触れることもなく、謎に包まれているゲーム」である。