最後まで読み切った。
正直にいえば上巻を読んだ時、下巻を買う気はほとんど起きなかったのだけれど、なんとなく彼らの戦争の結末を見届けようという気分になり、下巻も買って全部読み通した。
数年前、カリーニンが裏切るあたりと時間の改変ネタが出てきた時はかなり折れそうになったが、最後まで読み切ったことを後悔する作品ではなかった。
私が探していた蓬莱学園は途中でなくなってしまったけれど、フルメタルパニックという作品にとっては、きっとこれでよかったのだ。何より、完結しないまま宙ぶらりんで終わる作品が多い中、きっちり完結させたというだけでも十分に評価に値する。
とはいえ、どうしてもドラゴンマガジン掲載小説の特性には触れざるを得ないが。短編を抜きに長編だけで考えれば首尾一貫した、整合性の取れた物語なのだが、短編から入った人間としては雰囲気の違いにはやはり戸惑ってしまう。
最後の終わり方が一巻のエンディングを髣髴とさせる終わり方だったのは、後書きで「この物語はボーイ・ミーツ・ガールである」と書かれているとおり、一巻のボーイ・ミーツ・ガールへの原点回帰なのだろう。
○○○が生きていたことやソフィアの存在についてご都合主義と感じる人もいるかも知れないが、私にとっては救いだった(逆にこれくらいの救いがないととても読めなかった)。あと、あのクラスメートたちからのメッセージ。これがなければ私のフルメタルパニックへの評価は星二つは減っていたかもしれない。
やはり私はハッピーエンドが好きらしい。このエンディングをハッピーエンドと呼ぶかどうかはわからないが、少なくともこの前向きな終わり方は、私は嫌いではない。
いずれにしても彼らの戦争はこれで終わりだ。
十二年間お疲れ様でした。