かわいそう太郎

X-MEN:ファイナルディシジョン 特別編 [DVD]


 野球延長の後にTV放映していたので、今さらだけど劇場以来また見てしまった。











 毎回見るたびに思うけど、酷い映画だよね──サイクロップス的に見ると(笑)。
 仮にもX−MENチームのリーダーなのに、登場10分でバラバラに分解されて終了とか不幸すぎる。
 もっとも、この作品で不幸な目に遭ってるミュータントは彼だけではない。順番に見ていこう。


不幸ランキング第1位 サイクロップス
 不幸一位は間違いなく彼だろう。先程も言ったとおり、Xチームのリーダーで本来なら副主人公のはずなのに、1ではバイザーを取られて駅の天井を吹っ飛ばす役、2では洗脳されて敵として出てくる役、そして今回は登場10分でバラバラに分解されて退場、再登場なしである。
 もともとサイクロップスはリーダーなのにちょっと巡り合わせが悪いというか不運なところがあり、アニメでも原作でもロクな目に遭っていなかったりする。だから1と2の扱いは笑って見れたけど、3の展開だと復活の可能性すら示唆しないまま終わっちゃってるのが厳しい。ちなみに、2の最後ではジーン・グレイ/フェニックスの復活がちゃんと画面に現れていて、3の最後ではエグザビア博士とマグニートーの復活はちゃんと伏線が張られている。せめて最後に謎の人影が現れて、湖のほとりに落ちていたバイザーを拾うシーンくらいあれば……。
 原作では彼とジーン・グレイ(?)は結婚式までして、ケーブルという息子もちゃんといるというのに!(カプコンのマーベルバーサスをやったことのある人はケーブルのことはご存知かもしれない)。


不幸ランキング第2位 ローグ
 地味に扱いが酷かったのがアンナ・パキン演じるローグ。彼女は原作からの設定変更の余波をもろに食らった感じだ。
 実は、ローグには原作ではれっきとした恋人がいる(最終的には別れたんだったか?)。X−MENゼロで登場したガンビットだ。ところが、映画の1でローグを「ミュータント能力に目覚め、ウルヴァリンに憧れる女の子」という設定に変えてしまった(本来、この位置にいるミュータントは後述の「キティ」か「ジュビリー」。ジュビリーは2でチラッとだけ登場している)。ウルヴァリンジーンを巡ってサイクと恋のさや当てを演じる関係上、ローグは別の相手、アイスマンとロマンスを演じることになるが、こっちも今作でキティに取られてしまう(繰り返すが原作ではローグはどちらかというと古い世代のミュータント、キティは新しい世代のミュータントである)。
 で、1ではメインヒロインだったはずの彼女も、今回はミュータント能力を使った活躍のシーンは皆無、ミュータント治療薬「キュア」を使って体質を治したはいいけどこれもしばらくしたら元に戻る(マグニートーを見る限りそのはず)と、いいとこなしである。


不幸ランキング第3位 ジャガーノート
 なんだか、キティに翻弄されるただの筋肉バカのおっさんになってるんだけど……。いや、原作でも筋肉バカのおっさんなんだけど(笑)。一番重要なのは、このおっさん、エグザビア博士の義理の弟のはずなんだよ! エグザビア博士を引き取った育ての親の実の息子(ややこしいな)で、博士が子供の頃にいびりまくって苛め倒したという設定のはずなのに……。
 どう見てもただのやられ役です。本当にありがとうございました。


不幸ランキング第4位 アークエンジェル
 原作ではかなり古い世代のミュータントで、初期近くのX−MENチームに名前が見えるんだけど、劇場版では今作初登場だ。彼を不幸と言っていいのかわからないが、監督がエンディングシーンで彼が飛ぶシーンを演出したかったからとりあえず出してみました的な扱い。彼に尺を割くくらいだったらローグをもうちょっと描写するか(キュアを打つ直前で翻心してXチームの危機に駆けつけるとか)、あるいは逆にもうちょっと尺を割いてXチームとの交流を描いてやれよ……というのが正直な感想だった。


不幸ランキング5位 サイロック
 映画だけを見た人だと「誰?」と思うかもしれないが、原作ではメインキャラの一人で設定も一杯ある。今作ではカリスト(ストームと殴りあってた彼女)の部下として出てくる。紫の髪の女性だけどとにかく影が薄くてほとんど活躍シーンもない。名前のあるキャラとは思っていない人も多いんではなかろうか。


 逆に、今回で飛躍的に出番が増えたのが味方側だと“シャドウキャット”キティ。壁を透過する能力のあの子だ。アイスマンとはいい感じになるわ、ジャガーノートは倒すわと、獅子奮迅の活躍である。ちなみに、前にも紹介したかもしれないが少女マンガ版X−MENの主役は彼女だ。アイスマンパイロも登場している。


X-men: Misfits 1


 敵側だと「パイロ」。多分アイスマンのライバル役として抜擢されたからだろうけど、やたらスポットライトを浴びている。原作だともっと雑魚っぽかった気がする(笑)。


 アイアンマンにしろバットマンにしろ、原作と劇場版で違いがあるのは当たり前だし、違っていておかしい! というつもりはない。ただ、サイクロップスの扱いだけは……サイクロップスが今後の展開において登場する可能性を狭めてしまったかもしれないという意味で、ちょっと残念だ。まぁ、アメコミヒーローなんて100%死んでるはずの状況でもケロッとして再登場するなんて日常茶飯事だけど!


*なお、X−MENシリーズは作品も多数あり、それぞれ設定が違うこともあります。そうでなくても、私の知識の浅さのせいで勘違いしたことを書いてしまっていたらごめんなさい。