年末年始、実家からブログを更新しようと思ったら、はてなサービスにログインできなくて辟易させられた……。パスワードを変更した覚えはないんだけど、どうもPCに記憶させていたパスワードの一部が誤った状態で上書きしてしまったらしい。今まで気づかなかったけど、何回かパスワードを間違えるとログインできなくなるようだ。しばらく待ってから再ログインと言われるものの、丸一日待っても状況が変わらない。
慌てて調べてみたら、どうもキャッシュを削除しないといけないらしい──と、ここまで判明するまでにかなり時間がかかってしまったので、書き溜めておいて一気に更新している次第だ。
閑話休題。30日に予告した、X−Men・アポカリプスの話である。

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何度も書いているが、前作のフューチャー&パスト(以下F&P)が神作品だったことと、この作品の前評判があまり良くなかったこともあって、劇場に観に行く勇気が出なかった。超駄作だったらしばらく立ち直れなくなりそうだったし。
で、今回レンタルになったので、覚悟を決めた。そして、私の感想。
これは、2時間30分かけた「後日談」だ。
以下、ネタバレつきの感想となる。
(ネタバレが嫌いな人は回避推奨)
まず最初に、結論から書いてしまう。これをワースト映画に挙げた人の気持ちもわからなくはない(笑)。というのも、この作品は、前シリーズと今シリーズが好きで、原作をある程度知っている人向けのファンサービス作品だからだ。なので、原作を全く知らなかったり、ファースト・ジェネレーションを見ていなかったり、前シリーズを知らなかったりする人には凄くつまらない、というか訳のわからない作品だろう。
誤解のないように言っておくが、私はこういう作品は大好物だ。だけど、なかなか一般向けはしなさそう。巨額の予算をかけたハリウッド作品でこれをやらかしたブライアン・シンガー監督はある意味凄い。しかも、彼は意図的にそうしているっぽいのだ。それを示唆するシーンが作中にある。
・サイクロップスが、ジュビリーやジーンを誘って街に遊びに行くシーン。みんなで映画を見るが、それが「ジェダイの復讐」。ジュビリーとサイクロップスが「2作目の方が面白い」「1作目が傑作だったから2作目が作られたんだ」と言い合い、最後にジーンがこう締める。「どの映画も3作目は最悪」と。
この言葉にはトリプルミーニングが引っ掛かっている。スターウォーズの話の他に、まず「X−Menの第1シリーズの完結編(3作目)、ファイナルディシジョンの出来が最悪だ」という意味が込められている。前作の時にも書いたが、前作、及び本作の監督であるブライアン・シンガー監督は、よっぽどファイナルディシジョンがお嫌いらしい。その気持ちはよくわかる(笑)。
しかし言うまでもなく、この作品自体も新シリーズの3作目なのである。その3作目で「3作目は最悪」と登場人物に言わせるのはどういうことなのか。
ここから先は私の邪推だ。思うに、ブライアン・シンガー監督は、F&Pで一区切りつけたつもりだったのではないだろうか。だって、物語的には誰がどうみても綺麗に決着しているのだから。それなのに、続きを作れといわれた。あるいは、F&Pでは話が片付いていないという指摘があったりもしたのかもしれない。
「わかったわかった、続きを作ればいいんだろう? 作れば。蛇足になっても知らないからな?」と監督が言ったがどうか知らないが、今作からはそんな雰囲気が感じ取れるのだ。
まず、今作は登場人物が多すぎる。プロフェッサー、ビースト、ハボック、サイクロップス、ミスティーク、ジーン、ジュビリー、ナイトクロウラー、クイックシルバー、ウルヴァリン、モイラ博士。敵側でアポカリプス、マグニートー、ストーム、サイロック、エンジェル、ストライカー大佐。しかし、シリーズを最初から観ている人は、恐らくそれほど違和感はないはず。というのも、ここで挙げた登場人物のうち、今回初登場なのはアポカリプスしかいないのだ。
もちろん、これだけいると全員を掘り下げている尺はとてもない(もうみんな知ってるからいいだろう? という監督の声が聞こえるようだ)。味方側の主人公格は、プロフェッサーを除くとサイクロップス、ジーン、そしてミスティーク。ここで、あれ、と思う。この3人、ファイナルディシジョンで酷い目に遭わされた3人なのだ(笑)。
敵側で掘り下げられるのはアポカリプス──ではなく、なぜかマグニートーである。このため、今回のアポカリプスは凄く薄っぺらい。強大なパワーは持っているが、ドラマがないのだ。今回のヴィランは確かにアポカリプスだが、どちらかというと、ファンサービスの狂言回し役、という感じである。
その代わり、F&Pで解決しなかった事象は、軒並み解決している。
・ファースト・ジェネレーションで登場したモイラ博士はなぜF&Pに出なかったか。
・エンディングの後、マグニートーはどうなったのか。
・同じく、ミスティークはどうなったのか。
・川から引き上げられたウルヴァリンはどうなったのか。
・F&Pで中途半端で退場したクイックシルバーはどうなったのか。
・飛行機の中で名前だけ触れられた、サイクロップスやジーン、ストームはどうやって「恵まれた子の学園」に来たのか。
・そして、X−menはどうやって組織されたのか。
正直、F&Pのエンディングのままでも、既に未来が描写されている以上、この先に上のような展開が起こることは明白なわけで、そこは「観ている人のご想像にお任せします」でもよかったと思う。でも、今回アポカリプスというヴィランを前にして、上の疑問は全て答えが出るようになっている。
はっきり言って、予想外の展開はない。だって、もう未来は描かれているのだから。しかし、ダースヴェイダーの誕生が決まっているからといってSWの1〜3が無意味ではないように、今作も無意味ではない。しかし前のを全部見ていないと理解できないというのも、いささかハードルが高い。だから今作は「ファンサービス」だと感じたのである。
特になるほどと思い、また気の毒だと思ったのはウルヴァリンである。
ウルヴァリンは、F&Pでキティのタイムスリップの被験者となった。キティのタイムスリップは特殊で「本人の精神が、未来の記憶を保持したまま過去の本人に乗り移る」という形を取る。タイムスリップしたウルヴァリンは、いきなりマフィアのボスの娘とベッドの中にいるシーンから始まり、F&Pの事件を解決し、そして最後はマグニートーに水没させられたところで(修正後の)未来に戻る。
すると「過去のウルヴァリン」の視点だとどうなるか。「マフィアのボスの娘とベッドに入ったと思ったら、いきなり水没していた」となるわけだ。ウルヴァリンはよく「記憶喪失だ」とか「記憶が混乱している」という設定がつくが、こんな体験をしていればそれもむべなるかなだ。
「面白いんだけど熱心なファン向け。しかしどうも、監督はわかっててやってるらしいぞ」というのが、本作の感想である。