消された(?)過去



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 ゲーマーズフィールド第15シーズンの1号である。もうゲーマーズフィールドの創刊号から15年も経つのか……。
 確か当時はN◎VA・Rもまだなくて、表紙はエルジェネシスだったような。創刊号当時は、まさかこの雑誌が15年も続くとは思わなかったな……(もちろん日本のTRPG雑誌の中では群を抜いて最長)。


 そんなわけで、今回は15−1号のN◎VAの記事で触れられていた“死の右腕”メルトダウンこと千早雅之についてである。
 トーキョーN◎VAに登場するゲスト(NPC)の中でも屈指の知名度を誇る千早重工の社長、千早雅之。彼がかつては千早重工後方処理課第三班班長“死の右腕”メルトダウンと呼ばれるエージェントだったことを知る者は少なくない。ただ、意外に思われる方もいるかもしれないが、今回の記事でも触れられているとおり、彼がクグツからエグゼクに生き方を転向したのはレヴォリューション(革命)の時ではなく、その直前。カムイST☆Rクリルタイ支社に出向になった時のことである(当時の肩書きは査察課長)。
 メルトダウンに限らず、当時は主要なゲストの多くがクリルタイに配置され、ゲーム上のギミックも魅力的なものが多く、トーキョーN◎VAの中心はこれからカムイST☆Rに変わるのか? と思うほどだった。それが「N◎VAで起きている本当に重大で劇的な変化」を覆い隠すための擬装だったことは今では明らかだけれども。


 さて、彼のプロフィールについてはGF誌で紹介されているとおりなのであるが、ここでは触れられていないこともある。古参のN◎VAゲーマーには公然の秘密であるが、メルトダウンが最初に登場する作品「振り向けば死」は、当初トーキョーN◎VAではなくサイバーパンク2020でプレイされた作品だった。
 このゲームは経歴をダイスで振って決めるゲーム、それも1年毎にダイスを振り、結構な割合でろくでもない判定結果が出るゲームだった。そのためか、N◎VAのルールタームでは説明しきれない設定が当初のメルトダウンには存在した。
 一つは「左利き」(これについては記事中では「右腕が旧式のサイバーアームだった」という形で説明がある)。もう一つが「快楽殺人狂の気がある」の一文である。これは2020の経歴表で悲惨な目を振ったせいではないかと私は勝手に思っているのだが、この設定は、今現在の千早雅之には残っていない(エレガントな回答を用意するなら「治療によって克服した」のだろう)。


「昔、メルトダウンという奴がおってのう……」などと若いプレイヤーに言ったら「はいはいお爺ちゃん、その話はこれで10回目ですよ」とかたしなめられそうである(笑)。だが私が今回の記事で一番驚いたのはこれだ。


 強化された聴覚に銃声が響く。そして格闘の音。人の声──美沙だ。彼女なら問題ないだろう。


 早川美沙(佐々木亮さんのキャストである)──まだ千早雅之の秘書、やってたんだ(笑)。