3DダンジョンRPGへの憧憬・古代皇帝の呪い


 女王の受難に続く二作目。こちらも評価は高い。この作品の評価でよく言われるのが「最下層の玄室に潜む魔王たちが恐ろしく強い」というものなのだが、どうも私はレベルを上げすぎてしまったようであまりそうは感じなかった。むしろこの次の外伝3に登場するダイヤモンドキングの強さの方が印象に残っている。
 迷宮最下層でいきなりダンジョンの描写が線画調に変わったのは驚いたが、いかにも異世界に迷い込んだ風で、魔界の雰囲気がよく出ていた。

 まさかそれに、こんな事情が隠されているとは当時はまったく思わなかったが。


今だから言える衝撃的な話を書いてしまおう。
実はこのソフト(編者注:ウィザードリィ外伝II)、超低予算作品であった。
(中略)
この節減はダンジョンのグラフィックにも及ぶ。
最下層も他の階層の流用。ということになり、それならばいっそ強制線画にしてくれと頼んだ。
これも怪我の功名で、あの異常空間の雰囲気が出ていると
少なくない方の評価を頂戴したが、当人としては無念とするほかはない。


 このエピソードの信憑性は不明だ(リンク先を見れば分かるが、リンク元からは削除され、一方の当事者は否定している)けれども、ベニー松山氏が国産ウィズに関わったのはこれが最後の作品であることや、その後発売された一番容量に余裕があるはずの外伝4の評価がアレだったりすることを考えると……。
 何よりさすがと思ったのはここだ。


つまりは、絵の要らないアイテムと数値上のモンスターの
徹底した調整によるゲームの質の向上である。
武器の攻撃値やステータスボーナス、モンスターのHP上限下限と期待値など、
とにかくバランスに関しては誰にも触らせなかった。ひたすらテストROMでプレイを
繰り返して、自分が責任を負う部分として徹底的に調整した。


 ウィザードリィタイプの3DダンジョンRPGを生かすも殺すも全てはここ、つまりバランス調整にかかっている。松山氏がこう断言するだけあって、外伝2のバランスは秀逸だ。逆に言えばここまで徹底しないと、わずかな匙加減の差で良ゲーもクソゲーになりかねない。それがこのタイプのゲームの怖さであり、外伝4以降に出た国産ウィザードリィの多くの評価が低い理由にもなっている(取得経験値と取得ゴールドが逆になっているとかはもう論外だが……)。