ステイタスロールとアティテュードロール

 一昨日のエントリで「ステイタスロール」と「アティテュードロール」(最初はアビリティロールと書いてしまったが、間違い)という用語をほとんど説明なしに使ってしまった。この話はいずれ触れようと思っていたのだけれど、モノトーンミュージアムを読めたのがうれしくてつい先走ってしまった。

 ステイタスロールとアティテュードロールという用語は、今市場に出回っているTRPGでは使われていない。私の記憶にある限り、使われたのはサイバーパンク2020というTRPGのサプリメントにあたる、クリオタンクという雑誌に掲載された記事だったはずだ。
 サイバーパンク2020においては、キャラクタークラスのことを「ロール」と呼ぶ。以下のような種類がある。


ロッカーボーイ/ガール:反体制のミュージシャン。パンクロッカー。
ソロ:暗殺者や護衛、兵士など戦闘のプロ。
ネットランナー:コンピュータの専門家、電脳世界のヒーロー。ハッカー
テッキー:様々なテクノロジーに精通した技術者。
メドテク: 技術者の中でも特に医療技術に長けた専門家。医者。
メディア:マスメディア を武器として戦うフリーランスの記者。
コップ:無法の未来世界を護る法の番人、警官。
コーポレート:世界を支配する超巨大企業の非合法工作員
フィクサー:情報屋にして闇のブローカー。
ノーマッド:ハイウェイを縄張りにする走り屋。


 基本ルールブックでは並立して記述されているこれらのロールを、サプリメントで二種類に分類したのが「ステイタスロール」と「アティテュードロール」である。


ステイタスロールとして選べるのは、
 「コップ」「コーポレート」「ギャング」「ノーマッド」「フリーランス

アティチュードロールとして選べるのは、
 「フィクサー」「メディア」「ネットランナー」「ロッカーボーイ」「ソロ」「ノーマル」


 二種類のロールの違いは、それが世界に対する態度(アティテュード)なのか、それとも社会的な立場(ステイタス)を表すロールなのかという部分である。これはデュアルロールといって、サイバーパンク2020でマルチクラスをするためのルールの一部である。つまり、アティテュードロールを複数、あるいはステイタスロールを複数持つこと(ネットランナー/ソロとかノーマッド/ギャングなど)はできないが、コーボレート/ソロ(企業の殺し屋)とかコップ/ネットランナー(電脳警察)のような組み合わせは可能になっている。

 ここまではサイバーパンク2020の話だが、いわゆるアティテュードロールとステイタスロールに似た概念は他のゲームにもある。

 例えばアルシャードガイアサプリメント「ブルースフィア」で導入された「ソシアルクラス」はまさにステイタスロールであるし、トーキョーNOVAでも社会的立場を伴うスタイル(イヌ(警官)とかクグツ(企業工作員)、フェイト(探偵))をペルソナ(表の顔)に持ってきているキャストは多いはずだ。


 あるいはダブルクロスであれば、キャラクターの能力を現すシンドロームの他に、社会的な職業を表すカヴァーがある。同じブラックドッグ・ピュアプリードであっても「14歳にしてUGN支部長の天才少女」と「中東の戦場を転戦してきた歴戦の傭兵」というカヴァーではロールプレイが全然違って当然だ。



 ところが、である。

 現代、あるいは未来を舞台にTRPGでは社会的立場を何らかの形でルール化したゲームは多いが、ファンタジー世界を舞台にしたゲームにおいては社会的立場をルール化したゲームはそれほど多くない。言い方を変えるとアティテュードロールがキャラクタークラスであり、ステイタスロールは「冒険者」としてひとくくりにされるゲームが多いのだ(以下次回)。