「神の子」は「騎士」に非ず

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 ところで、昨日紹介したこのゲーム。ナムコクロスカプコンの続編という位置づけの作品で、設定なども引き継いでいる部分が多いようだ。で、前作をプレイした時どうしても私が許せなかった設定もそのまま引き継がれている。いや、重箱の隅をつつくような話で我ながら心が狭いとは思うのだが……。


http://pxz.channel.or.jp/entry/bng07.html


「天上の大女神に仕える乙女の騎士」


 ワルキューレは「騎士」じゃねーよ!!


 前作では魔界村のアーサーが白銀の騎士、ドルアーガの塔のギルが黄金の騎士、ワルキューレの伝説ワルキューレが乙女の騎士と呼ばれる「三騎士」だという設定なのだが、最初に乙女の騎士なるワードを耳にした時、上記のツッコミと同時にコントローラを画面に投げつけそうになった(笑)。
 前作を作ったのは確かモノリスソフトで、ゼノサーガを作った会社だけあってゼノサーガの設定は原作に忠実だったけど、ワルキューレが「騎士」はないわ。ワルキューレの冒険も伝説もゲームブックもアーケードのオンラインゲームもキャラクターデザインの富士さんの漫画も読んだけど、作中でワルキューレが「騎士」と呼ばれるシーンは私の記憶にある限りただの一度も、ない。
 ワルキューレは確かに大女神の命令で行動するけど、それは別に封建制度としての主従とは関係なく、普通に神々の上下関係において「上から下に」命令されているだけで、別に大女神に剣を捧げているとか領地をもらっているという設定はない。無理にでも職業とか役職で呼びたいというのなら、神様の命を受けて神様のために働くのって、騎士じゃなくてむしろ神官とか巫女じゃないの?
 もちろん、ワルキューレの二つ名というか、通称というのはちゃんと別にある。「神の子」ワルキューレである。下はバーチャルコンソール上にある、ワルキューレの冒険のストーリーだ。


http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_val/vc_val_02.html


 富士さんの漫画は同人誌ではないので公認、つまり公式設定に準じたものだとすると、ワルキューレは「新米女神」であり、かつての戦乙女(北欧神話ヴァルキューレそのもの)の武具を身につけた姿がそれを思わせることからワルキューレと呼ばれている(つまり本名ではない)ことになる。ちなみに、大女神自身こそがかつての戦乙女だったことも語られる。


ワルキューレの降誕 (1) (BLADE COMICS)

ワルキューレの降誕 (1) (BLADE COMICS)


 この設定を考慮しても、明らかにワルキューレは最初から神界の住人だ。どう考えても「騎士」ではない。「女神」ワルキューレと呼ばれている場面や説明は時折ある。例えばこちら。


http://www.druaga-online.jp/about/character/walkure.html


 女神という言葉は出てくるが騎士という言葉は一度も出てこない(ギルのページにはちゃんと「黄金の騎士」と書かれている)。というか、ワルキューレを「神の子」と呼ばないというのは、シナリオライターワルキューレのことをあまり知らずに話を書いているのでは、と邪推したくなってしまうのだ。

 もちろん、原作ゲーム設定をあえて無視してワルキューレを「乙女の騎士」と呼ぶことに物語上の必然性があるなら構わないのだけど、少なくとも私がプレイした範囲では、そんなものは全然なかった。
 反対にドルアーガの塔の設定については、チャプタータイトルを創元推理文庫ゲームブックのタイトルから持ってくるなど、ファンがニヤリとするような仕掛けが盛り込まれていただけに、どうしてワルキューレだけこんなに扱いがぞんざいなのかと残念でならない。作中では強い偉いと持ち上げられている割に、新作でもライバルキャラの登場もないようだし。ゾウナやカムーズは仕方ないとしても、ブラックワルキューレとか使いやすいと思うんだけどなあ。


 言葉一つに大袈裟な、とは自分でも思うのだが、公式ページのキャラ説明に大文字で強調されてしまうと、やっぱり凄くイラッとするのだ(笑)。