天羅WARに関する限定状況下における私的考察・2

ロストヘブン導入環境では

 さて、異なる種別の攻撃に対する突き返し特技は基本ルールの範囲ではサムライとガンスリンガー、流派:ゼダイ流にしか存在しない。しかし、サプリメント「ロストヘブン」を導入すると話が変わってくる。「流派:真到既空流」に習得に何の制限もないにも関わらず(使用の際は「剣による攻撃のみ」という条件がつく)、射撃攻撃に対して白兵攻撃で突き返しができる特技「虎一足」が存在するからだ。しかも、レベル2である。だが、これも閃角の上位互換ではない。虎一足には前提特技が存在するため特技枠が二つ必要になる上に、同一エンゲージ内からの攻撃にしか効果を持たないのである。
 その代わり、金剛機や(乗る機体さえ選べば)ヨロイ乗り等ですら射撃への突き返しができるようになる。ここまでハードルが低く無二の特技を持つ流派は(ロストヘブン導入環境では)他に存在しないといっても過言ではないだろう。

クロッシングポイント導入環境では

 クロッシングポイントを導入すると、突き返し特技の数は大幅に増える。「蟲使い」「流派:ボクシング」「流派:クンダリ明王拳」「流派:孔雀明王拳」「流派:汀流射撃術」「ロケットレンジャー」「ル・ティラエ」のそれぞれに、異なる属性に対する突き返し特技が追加される。特に「蟲使い」と「流派:ボクシング」「流派:汀流射撃術」「ル・ティラエ」はこれまでゼダイ流でしか突き返しできなかった魔法攻撃に対する突き返しが可能である。中でも「流派:汀流射撃術」は、クロッシングポイント導入環境だと初期状態で魔法攻撃に突き返しができるPCを実戦投入できるという意味で抜きん出ている(他は全て習得レベルが高く、初期から使うのは難しい)。ただ、これも万能ではなく、武器が投擲武器に限定される。正直、投擲武器にはそれほど強力なものがないので、その点でバランスが取れている。

突き返しに関する注意

 さて、特技を習得すればどんな状況でも突き返しができるかというとそんなことはない。突き返しを行うには条件が合わなければならないからだ。一つは「射程距離」もう一つは「回数」である。
 特に厳しい条件は「射程距離」の方だろう。突き返しはトーキョーNOVAのカタナが持つリフレクションなどと違い、弾丸を跳ね返すわけではなく「先を制して自分の攻撃を撃ち込む」ものであるため、そもそも自分の武器の射程距離内に相手がいなければ突き返しそのものも発生しないのである。
 まずは同一種別の攻撃に対してであるが、白兵攻撃に対して白兵攻撃で突き返しを行う場合それほど問題となることはないだろう。双方ともに射程距離は同一エンゲージ内であることが多いからだ。
 魔法攻撃だと、自分は相手の射程内にいるがこちらの攻撃は届かない距離にいる場合、突き返し特技を持っていても一方的な攻撃を受ける可能性がある。どれが有利どれが不利と一概には言えないが、スチームメイジの「エナジーブリット(レベル2、射程50m)」は、魔法攻撃の中では比較的アドバンテージが高いといえる(例えば陰陽師の場合、50m届く陰陽術はレベル8まで存在しない)。
 射撃攻撃が一番処理がややこしい。射撃武器は単に射程距離が長い短いというだけでなく、同一エンゲージに攻撃できない(近くに撃てない)武器が存在するからだ。つまり射程が長い方が必ずしも有利とは限らず、距離を詰められると反対に長射程武器の方が反撃不可の状態になることも有り得る。
 
 種別の異なる攻撃に突き返しを行う場合も射程距離の問題は無視できない。その例外がサムライの「閃角」でありゼダイ流の「輝臨陣」だ。これらは突き返しの射程が「視界」に変更されるため、種別さえ合っていればほぼあらゆる攻撃に対応できる。
 この二つ以外の特技の場合、長射程の武器に突き返しすることは非常に困難だと言える。しかしそれらの武器のほとんどは近づいてしまえば反撃を恐れず攻撃できるということでもある。同様に、ガンスリンガーの「クイックドロウ」もシングルアクション銃に限定されるため射程が短く、射撃同士の撃ち合いには向かない。


 そして、もう一つの制限が「突き返しの回数」だ。突き返し特技は、一つの例外を除き、全て1ラウンドに1回という回数制限がある。複数回の攻撃を受けた場合には反撃ができないのだ。このため、天羅WARで猛威を振るうのが「シナリオボスではなく、その取り巻きからの攻撃」だったりする。シナリオボスの攻撃は高ダメージで脅威となることが予想されるので突き返しはボスに取っておく……と、その取り巻きからの攻撃には突き返しを行うことができず、耐えるしかなくなるからだ。実際、私が聞いた範囲だと基本ルールブック添付のシナリオではボスよりその周りにいる雑魚に殺されたプレイレポートの方をよく耳にした(しかもこの雑魚はサンプルキャラの武器の射程の外から攻撃をしてくる)。
 唯一の例外がガンスリンガーの「バレットダンス」で、これを習得していれば何回攻撃を受けても突き返しができる。サムライは距離で他に対するアドバンテージを持ち、ガンスリンガーは回数で他より抜きん出ていると言えばいいだろうか。