成長するペルソナ


 DLCペルソナ自体数が限られているので、10個選んだらほとんど選んだ事になってしまうんじゃないか、というツッコミは置いておいて……。DLCペルソナの特性は、他のペルソナに継ぐことができないという特徴があるので、そのペルソナ自体で活用しないといけないという制約が付いている。
 それを考慮すると、やはり伊邪那岐大神が頭ひとつ抜けている。この特性の良いところは、徐々に強くなっていくという特性だというところだ。ペルソナ全書の埋まっている数に比例するので、最初は全然埋まっていないから、強いといってもそれなりの威力しかなく、ストーリーが進んでいくごとに、徐々に強くなっていく。
 ただ言い方を変えれば、伊邪那岐大神がこの特性を持っているせいで、他のペルソナの出番が全然なくなってしまうんだけれども。ストーリー進行やレベル上げの効果を、実質的に2倍3倍受けているような、そんなイメージだ。
 他のDLCペルソナもそれなりに強いは強いものの、その最大の弱点は伊邪那岐大神を外さないといけないところじゃないか、と思うくらいだ。やはり、Switch版にこれらDLCペルソナが最初から全部付いているというのは、ちょっとやり過ぎだったんじゃないかという気がする。もちろんデータ的な強さがない、コスチュームチェンジみたいなDLCは全部無料でついていてよかったと思うけれど。

最強のバランスブレイカ

 実は前々からエントリーを書きたいと思っていた格闘ゲームのキャラクターが3人いた。うち豪鬼とさくらについては過去に記事にしたことがある。ただ、もう一人については、今後も話題に出てくることはなかなかないキャラクターだと思うので、忘れないうちに記事にしようと思う。

 まずはゲームのタイトルとキャラクターの名前から。プレイステーションで昔発売されていた闘神伝2というゲームの「ヴァーミリオン」というキャラクターである。これも豪鬼やさくらと同様、初めて見た時かなりの衝撃を受けたキャラクターだったものの、豪鬼やさくらと違い、シリーズの後継作が出なかったので、今となってはかなりマイナーなキャラクターかもしれない。



 ヴァーミリオンの特徴を挙げていくと、まず背が高いので当たり判定が大きい。またキングオブファイターズの庵のように、攻撃する前にためモーションがあるので、攻撃を出すまでのスピードが各キャラクターに比べてワンテンポ遅い。さらに移動スピードもかなり遅く、ダッシュではない前進および後退は、正直言ってゲーム中使い物になるレベルではない。
 ──とまぁ、お察しのとおり上はあえて弱いところを書いただけで、実際にはこのヴァーミリオンはバランスブレイカーなどというレベルではない「破格」のキャラクターである。



 この闘神伝というシリーズは武器格闘ゲームなのだが、このバーミリオンというキャラクターが持っている武器は「銃」だ。銃を持っているキャラクターというのは、今となっては他にもいる。例えばブレイブルーのノエル*1やキングオブファイターズのウィップ等々。また通常攻撃が通常技というキャラクターについても、X-MENサイクロップスのような例はある。
 ただ、このヴァーミリオンの武器攻撃が破格なのは、この銃がいわゆる格闘ゲームでいう飛び道具にすら当たらないという点である。弾体が画面に表示されることがなく、*2ボタンを押して攻撃判定が発生した瞬間にほぼ着弾するという異常な性能だ。先ほど技発生が遅いと書いたものの、発生さえしてしまえば画面端まで届いてしまうので、ヴァーミリオンの特性からいうとあまりハンデにはならない。違う例えを挙げると、射程距離無限大のダルシムのようなもの(ガードはできる)。

 ヴァーミリオンと相対した時に、多くのプレイヤーが考えるのは飛び道具を使うことだろうが、実はこれが一番の禁じ手だ。
 このゲームは、飛び道具を撃った後、撃った人間に攻撃が当たると打ち消されるという特徴がある。つまり、ヴァーミリオン側としては、相手が飛び道具を撃ったのを確認してから通常技を撃つと、飛び道具が消えて自分の攻撃が当たる(相殺されない)というとんでもない仕様になっているため、波動拳の類いは絶対に厳禁である。
 ということは、対戦者側にすると、飛び道具を撃たずにいかに距離を近づけるかというのが至上命題になってくる。逆にヴァーミリオンとしてはそれが分かっているので、何としても相手と距離を取るというのが目的になる。
 この時猛威を振るうのが、ヴァーミリオンのジャンプ強武器攻撃だ。これはジャンプ中に斜め下に向けてショットガンを撃つ攻撃なのだが、この攻撃が中段判定で、しかもヒットすると相手はダウンする。ダウンしたところで、ヴァーミリオンが距離を開けることが余裕で可能になってしまう。これを一発受けたら、かなり絶望的な状況と思った方がいいだろう。
 ところが、ヴァーミリオンにはしゃがみ強武器というのも存在する。これも立ちガード不可、かつヒットするとダウンするので距離が取れてしまう。ヴァーミリオン側としては、遠距離からしゃがみ強攻撃とジャンプ強攻撃を適当に撃ち分けるだけで、上下にガードを揺さぶれるわけで、対戦相手は死ぬほどきつい。
 どれくらいキツイかというと……このゲームには永久パターンを持っているキャラクターが3人いるといわれている。「エリス」と、中ボスの「ウラヌス」と、ラスボスの「マスター」。この3人が、対戦時にヴァーミリオンに永久技をブチ込みまくっても、相手がヴァーミリオンなら許されると──初段技を食らったヴァーミリオンの方が悪い、と当時の攻略サイトに書かれていたくらいだ。
 攻略本にも、ヴァーミリオンと対戦できるのはヴァーミリオンだけ、他のキャラにヴァーミリオンが負けるのは許されないと書かれていた。その性能差の全てを、この武器攻撃の特性に拠っているのだから、いかに異常な性能かがわかると思う。全ての技が平均的に主人公の強化版として設定された豪鬼などとは位置づけが違う。



 ゲームセンターはともかく*3、一人用で遊んでいる範囲ではストレス解消キャラとしては最適で、CPUをバンバン撃って蜂の巣にするのは非常に気持ちよかった。そういう意味で、私のプレイ環境における稼働時間は結構長かったと思う。
 ただ、このシリーズ自体でいうと、カプコンが監修したという2が一番面白く、以降「3」、「昴」とシリーズを重ねていくうちにどんどん出来があまり悪くなっていった。ヴァーミリオンは人気キャラだから継続登場しているが、個人的には3で銃が残弾制になったのは悲しかった。バランス調整的には当然の話かもしれないけれども。
 これを超えるバランスブレイカーはその後なかなか目にかかれなかった。これを超えるということは、対戦が成り立たなくなるということなので、これも当然といえば当然だろうが……。

*1:ちなみに彼女の名前である「ノエル=ヴァーミリオン」は、このヴァーミリオンから来ているのではないかと、勝手に思っている。

*2:実際には数フレームのみ表示されている……と製作者たちは攻略本で書いていた。

*3:このゲームは家庭用版だがゲーセンにも並べられていた。