不思議が当然ブルースフィアってね!


 アルシャードセイヴァー、通称AL2初のワールドサプリである。私が上級で採用されなかったと思っていたミスティックはここにきて復活した(しかしサイキックやマシンヘッドは復活ならなかった……)。
 いや、しかしそのことよりも何よりも私が驚いたのは、AL2の舞台となるブルースフィアが、リプレイにもなったあの大ラグナロクで「滅びた」扱いとなっていたことだ。「そんなことリプレイに書いてあったじゃないか」という人もいるかもしれないが、リプレイにただ書かれるのと、ワールドガイドに「ブルースフィアはいったん滅び、クエスター達のイデアの力によって再生した。よって、『前の』ブルースフィアについてのプレイヤーの知識は、新しいブルースフィアでは(異なる形で再生されている可能性があるため)役に立たない可能性がある」とはっきり明記されるのとでは重さも意味合いも違う。例示されているケースではNPCのクラスが変更されているし、性格や設定を変更してしまってもよいと書かれている。
 NOVAで言い換えるなら、新生NOVAではメルトダウンがブラックハウンド所属で音羽南海子がフリーランスのトーキーやってるかもしれません、と言われるようなものだ。

 この設定には勇気が必要だったはずだ。長く続くシリーズにはファンとも呼べるプレイヤーがついている。彼らの知識を「リセット」しようとすれば、賛否両論あって当然だ。現に、AL2の設定では「イデア」の力によって旧ブルースフィアとそっくりに再生されたものも多いとされている。それらには前のプレイヤー知識が使えるわけだ。
 逆にいえばこれは、GM視点からの解釈でぶっちゃけると「前のブルースフィアに関する設定のうち使いたいところだけ使って後は無視して構わないよ」という、デザイナーからの免罪符ということになるだろう。

 どうしてこうなったか、想像はつかなくもない。私のような古参ゲーマーからするとアルシャードは比較的新しいゲームのような印象があるが、実際にはアルシャードはもうかなり古いゲームだ。しかもサプリメントの刊行ペースは比較的早く、旧版(今から2つ前の版)アルシャードからのサプリの量でいうと膨大な量になる。これらをGMをやる人間が全てチェックするのはほとんど不可能だ。
 だから、GMは今回のAL2からは「昔のサプリの記述などは知らないまま、あるいは知っていて敢えて無視してもいい」という太鼓判を押しているわけだ。お陰でGMは、以前の刊行済みサプリを探し回らなくて済むだろう。

 ……という話をしていたところ、先輩がぽつりと言った。


「いや、これってNOVAでこそ必要な設定だったんじゃないか?」


 ……確かに、そうかもしれない。トーキョーNOVAはもう刊行から15年以上の年月を重ね、設定は膨大、刊行サプリの数も(既にほぼ入手不可能なものも含め)大変な数になっている。
 さて……NOVAの次版では、そのあたりをどう解決してくるのだろうか。怖いような楽しみなような気分である。

ところで

 世界は一度無に戻ったが、あなたの「世界を想う心」「イデア」によって、再び以前の世界とよく似た世界が再生された……と聞いて、私が真っ先に思い出したのはこれだった。



 サムネ画面を見て「誰、この金髪?」と思ったあなた。こちらが最新リメイク版フェアリーさんだったりします。