そして移行作業の結果

 随分久し振りにPCと格闘した気がする。きっかけは先日のエントリに書いたとおり、FF11がXPの対応を打ち切ったことだ。それともう一つ、実はここで職場の端末がWindows7に切り替わったので、いい加減7に慣れないとまずいだろうと考えたためだ。
 そして最後に私の背中を押したのが、Windows7の延長サポート期間だった。最近まで知らなかったのだが、サポートは2020年まで続くことになっている。8の今の状況を見る限り、積極的に8を導入しなければならない事情もなさそうだし、*1ここで頑張っておけば2020年まで保つというなら、少なくともハードウェアより先にOSのサポートが切れて困るという事態には陥らなくて済みそうだ。

 このようなコンセプトだったため、基本的にハードウェアは買い換えないつもりだった。もちろんPC関係の情報サイトなどではXPを7にアップグレードするくらいなら7対応のハードウェアを買え的なアドバイスがほとんどを占めるが、市場はもう8だらけで7対応のハードは少なくなってきている。それでも私好みの7を搭載したマシンが市場にあれば考えるのだが、ハードとしては今手元にあるものの方に愛着がある──たとえ、アップグレードインストールではなく新規インストールするはめになったとしても、だ。
 とりあえず、試しに7を一本買ってアップグレードし、状況を見てから他を試してみることにした(これが実は後々に影響するのだが)。


 というわけで、以下は私の環境でしかほぼ役に立たないだろうと思われるOSアップグレード*2体験談である。トラブルシューティングとして役立つ情報はほとんどないので、検索で飛んできた人がいたら、ごめんなさい。

1.デスクトップ

 最初に選んだのはショップ製のデスクトップで、FF14用にグラフィックボードを載せ換えたマシンだ。なぜ最初にこれを選んだかというと、性能が高くて要件を満たしやすかったこと、そしてボードを換えてから比較的トラブルが多く、いざとなったら買い替えてもいいや、という思い入れの少ないマシンだったからだ(笑)。
 トラブルはなかったのだが、一つだけ失敗したことがある。それは、大容量の外付けHDDをつけたままアップグレードしてしまったことだ。今までの経験からだと抜いた方が安全な気がしたのだが、マイクロソフトが公式にリリースした、ハードウェアがWindows7に対応しているかどうか調べる「アップグレードアドバイザ」というソフトに「使う周辺機器は全て接続してからスタートしろ」としつこく注意書きがあるので、アップグレードそのものも周辺機器を繋いだままの方がいいのか(繋いでいるハードのデバイスドライバを自動的に探してインストールしてくれるのであながち間違いではないのだけれど)と思っていた。
 ところが、実際にやってみると、インストールの最終チェックの段階で繋がれているHDDの全チェックをするらしく、大容量のストレージを繋いでいるとチェックに非常に時間がかかる。最初はそれに気づかず、本体HDDのアクセスランプが消え、タスクが止まって30分以上したところで思い余ってインストーラーを緊急終了しそうになった。なんとか思いとどまってネットで調べたところ、上記の事情がわかった次第である(ちなみに誘惑に負けて電プチしていたら最悪ハード破損が待っていた、らしい)。見ていてもしょうがないので寝てしまった。
 翌朝アップグレードは無事終了していた。ドライバなどを用意する必要もまったくなかった。ただ、元々このマシンはオーディオ出力を複数系統持っているのだが、元々出力されていた系統から音が出なくなり、音が出ていなかった別系統から出力されるようになった。原因は不明だ。サウンドドライバをロールバックしてみようかとも思ったが、少なくとも7上では一つのドライバしか認識されておらず、しかもそれは正常に動作していることになっている。削除して別のを入れ、今出力されているのが出なくなっても困るので、とりあえずこれはそのままでおいておくことにした。
 とりあえず順調にいきそうだったので次のマシンへ(これが失敗の元なのだが)。

2.SONY Vaio VGN−SZ94PS

 こちらはアップグレードできるのかどうか半信半疑だったものの、先述のアドバイザソフトを走らせるとまったく問題なしと出たためアップグレードすることに。


 結論から言うと、問題なしどころではなかった。


 一応画面は表示され、普通に動いているように見えるものの、SZの一番の売りであるグラフィックアクセラレータが全然認識されない。一応ここまでは想定内だったものの、NVIDIAから直接落としてきたドライバを読み込まないのは想定外だった。セットアップしようとすると、どうも対象外のハードであると認識され、弾かれてしまうようだ(元々NVIDIAのHPには対象機種がどれとは書かれていない)。
 慌ててネットで調べると、どうもソニーのカスタムドライバを使用しているようでNVIDIAの公式ドライバは使えないらしい。数時間の格闘の末、なんとか海外顧客向けに用意されたドライバを発見(こちらのページに感謝)。とはいえインストーラを走らせると思いっきりvista用と表示される。ダメ元で適用してみると、なんとか動いた。もちろん保証対象外である。修理に回すときには初期化する必要があるだろう。*3一応動いてはいるものの、ファンクションキーなどを使用する輝度調整などはできなくなった。
 もっと下調べしてからやれば……とも思ったが、もしこの情報を事前に知っていたら、アップグレード自体を諦めてSZとはさようならしていたかもしれない。そういう意味では不幸中の幸いだった。

3.ASUS N10Jc

 実家用に使っている「FF11が動くネットブック」である。こちらもクライアントマネージャは無事動作するし、念のためにネットで調べると、比較的新しい機種であるせいか7に載せ替えたという報告がちらほら見える。そして、別にトラブルがあったとも書かれていない。


 安心してアップグレードしたら──これも実は罠だった(笑)。


 まず、最初でつまずく。これは原因ははっきりしてて、システム領域がFAT32フォーマットであるため。Windows7NTFS領域のみにしかセットアップできないため、NTFSに変換したあとセットアップを続行する。
 ところが、作業が終わってみるとSZ同様、グラフィックアクセラレータ搭載機にも関わらず認識されるのは統合チップセットのグラフィックチップのみ。ただ奇妙なのは、SZの時には同じ症状の人がいたのに、N10jcでは何もせずに無事完了したという報告が多いこと。中に一人だけ私と同じ症状、つまり「本体キーボード上部にあるパフォーマンスを操作するボタンがきかなくなった」と訴えている人がいたが、改善策はなし。本体、グラボどちらのメーカーのHPを見ても情報はなく、系列機のvista用のドライバはあるものの、適用しようとしても弾かれる。
 仕方なく同機に関するあちこちのFAQをしらみつぶしに当たってみると、ふと目にした気になるキーワード。


「本体左側面にあるグラフィックアクセラレータのつまみを性能重視モードに」


 ──左側面? キーボード上部じゃなく?


 左側面を確認してみると、確かにスライド式のつまみがある。ということはこのキーボード上部のボタンは──ただの電源管理設定をいじるだけのボタンか! このマシンをもう何年もいじってきたけど全然気づいてなかったわ! 道理で専用グラボ積んでるにしては動作が重いと思ってたよハハハ!
 意外な発見(アホなだけとも言う)に驚きつつも改めてアクセラレータをオンにしてセットアップをやり直すと、確かに自動的にドライバが読み込まれる。恐らく成功体験を書いている人たちは普段からアクセラレータをオンにしているため、これをオンにしないとドライバが更新されないことは意識していないのではなかろうか。

 ところが、これでトラブルが終わったわけではなかった。試しにFF11にログインしてみると、キャラがまったく表示されない。これまた原因不明である。同様の症状が確認されているのはIntelの最新型統合チップセットを使用しているマザーボードそしてWindows8での話であり、今回のような古いマシンのケースとは事情が違う。
 途方に暮れたものの、上記二機種の不具合の対応ではドライバをロールバックすると改善されることが書かれていたので、試しにデバイスマネージャを開いてみる。すると、ドライバの更新は1回しかかかっていないはずなのに、確かにドライバが二種類表示される。不具合を起こしているドライバでない方に切り替えて再起動すると、今度は無事キャラが表示されるようになった。ただ、そのドライバだとNVIDIAのコントロールパネルが開かなくなるので、画面のスケーリングなどはできなくなるが……まぁ、ネットブックの画面サイズでスケーリングすることもほとんどないし、問題はないだろう。なお、こちらもファンクションキーを使用する音量調整や輝度調整は一切できない状態である。


 と、3台のマシンをアップグレードするまでにほぼ1日半かかってしまった。しかも、普段使っているアプリのインストールなどはまだまだこれからの状態である。とはいえ、私が普段使っていて、アップグレード後に使えなくなるのではと危惧していたソフトの多くはそのまま使えそうだ(LEEYESとかね)。ある人が「7はXPのセカンドエディションだ」といっていたが、互換性が高いのは助かっている。

*1:8はハードウェアごと買い換える必要が出てくるだろうから。

*2:アップグレードと書いているが、マイクロソフトがデータを移行できるアップグレードインストールを認めているのはVistaだけで、実際はクリーンインストールである。

*3:この話、Vaioユーザーには結構有名な話だったようだ。XPから7へのアップグレードは当然対応していないだろうと思っていたのだが、実はVistaプリインストールのVaioですらアップグレードが保証外になる(先述のとおり、マイクロソフト側は対応している)ということで、かなりの論議を呼んだようである。ソニーの公式ホームページにも「自己責任でやってくれ」と異例ともいえる注意書きがしてある。