ウォールストリートジャーナルに続いて……

【ビジネスの裏側】DS「脳トレ」ヒットで停滞の皮肉、ガラパゴス化進む日本のゲーム…“安住”した途端に欧米メーカーにやられる、開発費競争の重い負担


 産経もゲハ化してるし(笑)。
 私がゲハやそのまとめブログで一番嫌いなところ*1、そしてこの手の議論で一番納得できないところは、完全に普通のユーザーを置いてきぼりにしているところだ。
 この記事で挙げられているのは、そして小島監督が言及していることも、メーカー側の理屈でしかない。多くのユーザーは、画面が小奇麗になる代わりに発売されるタイトル数が激減して、大手のメーカーしかソフトを出せなくなるような状況は望んでいなかった。だからこそDSソフトも売れたし、悔しいけどソシャゲも売れた。全てのユーザーが画面解像度や技術の高さを至上の価値と捉えているなら「これらのゲームは低技術だから全然売れない」とならないとおかしいけど、現実はそうなっていない。
 「昔のゲームは面白かった」という話題がいつまでもなくならないのも、思い出補正もさることながら、画面解像度だの高度な技術だのなんてのはほとんどのユーザーには関係のないことだからだ。開発費とゲームとしての面白さは比例しない。そして「自分にとって面白いゲーム」に出会えるかどうかの確率は結局、リリースされているソフトの数に比例する。64を出していた頃の任天堂の主張のように「ソフトの数は少ないが面白いものだけを出す」というのは、これだけ価値観が多様化した社会では不可能だ。
 全ての映画がハリウッド映画である必要はない。映画であれば「あらゆる映画はハリウッドを目指すべき」なんて論調は滅多に見ないのに、なぜかゲームに関しては「日本も海外ゲームのように何千万本も売るのを目指すべきだ」みたいな論調が目立つ。それは場末の掲示板からゲーム系のブログ、そしてゲーム系の雑誌、ついには大手新聞にまで取り上げられるようになってしまった。
 ハードウェアならそれも判るけど、ソフトは違う。日本でハリウッド映画は撮れない。それならミニシアター系映画のように制作費を圧縮して損益分岐点を低く見積もればいいのに、なぜか海外を目指して爆死するゲームがゴロゴロ出る。“バンナム七英雄”の制作費で「普通のゲーム」がいったい何本作れただろう?
 制作費が高騰したのはハードウェアの性能が上がったからだという。なのに、ハードウェアメーカーはさらに性能を上げた新機種を出そうとしている。正直、私の目には現行機との違いがわからない。わからないが、恐らくまたも開発費は上がるのだろう(PCと共通のアーキテクチャだから開発費はむしろ下がるなんて聞いたこともあるが、今までハードウェアが進化して開発費が下がった例はない)。すると損益分岐点は今よりも上がり、さらなる大作主義の道を歩むことになる。失敗すれば大損失。表題のような記事は関係者を煽り、その流れを加速させているのだ。業界はいつまでこんなユーザー不在のチキンレースを続けるつもりなのだろうか?

*1:この間挙げたサイトは、そのサイトがアイマスを応援していた頃から追ってたけど、宣言どおり見るの辞めました。