掲示板の流れに吹いた

『トワイライトガンスモーク』の内容と感想


 「トワイライトガンスモークかー、NOVAのサプリ出たばっかりだし別にいいや」とか思っててすみませんでした。明日買いに行きます。GMガイドの「依頼人の裏切り」の項目だけで値段分の価値はありそうだ。


 とりあえず、>>850と>>890の身を挺した15年越しのギャグに思わず涙が出た。そしてその後の流れを読んで、ああ、ちゃんと今は21世紀だったんだな、と安心。
 昔を知らない人には──そう“昔”を知らない人には、まるで冗談のように映るかもしれないが、かつてはそういう時代が──「(かつて日本でのサイバーパンクTRPGというものは)PC同士で殺し合う遊びである・人情や倫理に流されるのはNG・依頼人は裏切る・戦闘をしてはならないなどの 今では笑い話にしかならない誤解がまかり通り、それを信じてしまった故の凄惨な事故も横行した」──時代があった。*1


 信じられるだろうか? リンク先のさらにリンク先を読めば分かるが、初心者向けシナリオと銘打ったシナリオでいきなり「依頼人がPCを裏切り敵に内通している」シナリオ、それも「PCに対策至難の精神ガスを使用してくる」「前金として渡されたサイバーウェアは敵に発砲できないよう細工されている」「事前に見破ろうとすると依頼人の護衛に邪魔される」という展開の連続である。
 しかも、仮に罠を食い破って生き延びても依頼人に意趣返しするには明確な証拠を掴んでいなければならない。なお、シナリオ中にこの「証拠」がどのようなものでどうやってPCがそれを確保できるかは一言も言及がない。証拠がなければ言い逃れられて終わり、襲い掛かれば返り討ちに遭って終了である。
 笑えるのが「PLが作戦の立て方がわからないといったらGMが代わりに立ててやれ、このシナリオは初心者向きだから」とか平気で書いてあることだ(書いた人間は恐らく本気でそう思っていたのだろうが)。もちろん、作戦立案の段階では依頼人の裏切りは隠されているから、要するに「GMはデタラメな作戦を立ててPLを(PCを、ではない)騙せ」と言ってるのと同義だ。


 これで、GMとPLに信頼関係を情勢しろとかどだい無理な話である。
 だって、誰だって↑みたいな「初心者向け」シナリオをやらされたら、その後は取引場所にはガスマスク着けて行きたがるだろうし、依頼人は信頼なんてできないからとことん裏を取ろうとするだろうし、報酬として渡されたサイバーウェアなんて身に着けないだろう? 「今回のシナリオはそんな展開じゃない」って? そんな言葉どうやったら信用できるんだ?
 ──とまぁ、こんな殺伐としたセッションシーンが繰り返され、罠もないのに罠を警戒したり、全然関係ないところで執拗に細かいことにこだわったり、無数の不毛な時間を過ごした先人の経験の上に、今のゲーム、トワイライトガンスモークやNOVA−Xは存在するのだ。管理人の人ではないが、本当に「今の時代に生きててよかった」と心底思う。

*1:そしてここからは笑い話にならない話だが──掲示板でも話題に挙がっていて、リンク先も紹介されている「ニフティシャドウラン会議室」を主宰し、先頭に立って掲示板に集う者たちを“啓蒙”していた人物は、今もとあるサイバーパンクTRPGの翻訳に関わる中核的な人物である。