久しぶりに頑張れスクエニと言いたい


 あちこちで3DS版のDQXがフルボッコにされているのを見ていて気の毒になってきたというか、個人的には非常に応援したい気分なので、流れに逆らって擁護してみる。


 発売当初から主にアンチ任天堂系のゲハサイトなどを中心に、フォントやらあちこちで叩かれまくっていたので、逆に私は実際にプレイするまで風評は鵜呑みにするまいと決めていた。間抜けな話だが私は発売日を1日勘違いし「5日」だと思っていたのだが、その5日に店舗を回ったらどこの店も売り切れ状態。まさかこんなに売れているとは、というのが正直な感想で、慌ててアマゾンで予約を入れた。それも次々売り切れになっていってしまうのでやっと3つ目の店舗で見つけたくらいである。
 以下は、やっと届いたソフトで私自身が実際にログインしてみた印象である。


 まず「ログインできない」ことより「フォントが見えづらい」ことの方を先に話題に出しているメディアは*1実際にはほとんどプレイしていないと私は思っている。ゴールデンタイムにアクセスしてみればわかるが、まずログインできないことの方が最大の問題で、フォントはその次の問題だからだ。もっとも、アマゾンレビューに酷評が集まりつつある今となっては実体験していなくとも状況がわかるので、混雑状態も槍玉に挙げることにしたようだけれど。
 とりあえず、DQXを前からプレイしている人たちは恐らくほとんど知っていることだと思うが、アストルティアの人口は夜12時を過ぎるとガクンと減る。なので、私は12時30分を過ぎてログインしてみたところ、問題なく入れた。話題になっている音割れだのカクつきだの動作の遅延だのもない。ちなみに私の環境は、集合住宅のケーブル回線に有線で繋いで、PCのUSBポートから無線を飛ばすというものだ。ログインした場所はアストルティアでも一番人が集まる場所の一つ、メギストリスの都である。*2
 なお、オフラインモードが酷いという話を時折聞くが、これは私のように基本的に他機種版でプレイしている人間には検証が困難だ。なぜなら、他機種と3DSを併用でプレイしようと思うと既存のアカウントに紐付けが必要となり、新規キャラスロットに空きがないとプロローグがプレイできないからである。オンラインモードであれば、少なくとも私の環境下では混雑時間帯でなければログインに問題はないが、キッズタイムを含めて「混雑時間帯が長すぎる」のが今の最大の問題だろう。特に3DS版はクラウド対応であるため、混雑状況が如実にプレイ環境に影響を及ぼすようである。


 個人的にちょっと気になったのは、これを問題にしている人はあまり見かけないのだが、ニンテンドーネットワークIDへの登録が必須になる点だ。ただ、この登録はDQXをプレイするためというよりソフトをダウンロードするのに必須という感じだから、他にもうダウンロードソフトを買っている人はあまり気にしないのだろうか?


 次に気になったのはフォントよりも操作性だ。特に、ジャンプは元々使わない性質なので構わないのだが、オートランする時スティックとボタンの組み合わせで操作できず、画面タッチが必須になる。それもレバーを倒しながら画面タッチというのは厳しい。あと、L1R1ボタンに配置されている操作も意図がよくわからない。視点を固定したまま左右に歩き出す操作なのだが、3D型のMMORPGでこの操作をそんなに頻繁に使うとは思えない。普通はいわゆる左スティック移動が一般的ではないだろうか? これなら、LRは他機種版でいうところの右スティックの左右動作、つまり視界の転回に使ったほうがよかったと思うんだが……。タッチパネルをコンフィグできないのもきつい。
 そしてフォント。はっきり言って私は3DSを「出先で使うための代替機」としか思っておらず、メインはWiiUでプレイしているため、普段アストルティアのどんな場面でどんな用語が使われているかを知っている。知っている人間には複雑な漢字の判別がつかなくても「十分に見当がつく」レベルである。仲間内の会話でも同じだ。別にゲーム内で難読漢字コンテストをやるつもりはない。とはいえ、これだけ小さいと一瞬の判断が要求されるボス戦などで字が読み取れず困るという可能性はないとは言い切れない。
 ただ、そもそも3DSにはキーボードがない。*3元々チャットに向かないハードなのだ。そして、前にも書いたがDQXはFF11などに比べてチャットへの依存度が低い。このことを問題にするなら、キーボードを搭載していないPSvitaでPSO2をプレイするのも、少なくとも「チャットがしづらい」という点では同ベクトルの問題点を抱えているはずだが、なぜか前述のメディア等でこのことについて取り上げられたことは特にない。*4

貴方にも「ようこそアストルティアへ」

 さて。では何故私が3DS版のDQXを応援したいと思っているのか。これはひとえに、今までも散々書いてきた「FF11との比較」という面からである。口さがない人は「こんな状態で3DS版なんて出した意味があるのか?」などと皮肉を言っているが、私は断言する。例えこんな状態でも、出した意味はある、と。
 実は、DQXは3DS版を発売することでMMORPGとしての対応機種が「過去最多タイ」の4機種対応(WiiWiiU3DS、PC)となる。もちろんもう一つは「信長の野望オンライン」(PS2PS3PS4、PC)である。まとめサイトや情報サイトに出てくる声の多くは大概マニアックな声を拾ってくるため、一番綺麗で一番ぬるぬる動くPC版さえあれば他機種はいらないなんて嘯く人も少なくないが、もちろんそんなことはない。コンシューマハードの広がりは、そのままプレイヤー層の広がりに繋がる。


 もう何度も何度も飽きるほど書いているが、オンラインゲームの既存プレイヤーにとって、発売ハードが増え、プレイヤーが増えることほど嬉しいことは他にないのだ。


 私が前にプレイしていたFF11は、発売から12年経った。12年で、ハードとしては3つしか対応しなかった。PS2XBOX360、PCである。3つ対応するゲームすら少ないのだからそれでもすごいというべきなのかもしれない。中でも、ライバルだったPSとXBOXの両方でソフトを出したのは、これは素直に賞賛できる。信長の野望もDQXもここは真似できていない。しかし、それ以降対応ハードが一つも増えなかったために、続けたくても続けられないプレイヤーが沢山いたのだ。それも、FF14のようにプロデューサー自ら事前に「ハードの性能が足りないからそのうちPS3は切るかも」なんてある意味予告してくれているのならまだいい。11の田中PのようにPS3も検討してます、PSVitaも検討してますと口では言いながら、結局「移植には手間がかかるから無理でした」……。


 飽きて止めるのは仕方ない。人間関係に疲れて止めるのも仕方ない。しかし、楽しんでいるのにハードがないから続けられないというのは、ただただやるせない。


 田中Pのいうように、移植には手間がかかるのだろう。今回の3DSのようにトラブルも起きる。しかし、DQXのスタッフは困難を承知で移植した。FF11のスタッフは口だけで何もしなかった。私は、前者に向かって金返せとかふざけるなと弾劾する気には毛頭なれない。むしろ後者に、去っていくしかなかった友人たちを返してくれと言いたい。彼らの存在を、お金で取り戻すことはできないのだ。
 前述のとおり、3DS版DQXには問題が山積している。しかしそれは(私の言うことではないが)サーバの増強やソフトのアップデートで対応が可能だ。少なくとも私は、最初の一歩すら踏み出さなかったゲームより、最初の一歩を踏み出したゲームをこそ評価したい。だからこそ、この逆境にめげないで、機会損失を最小限に食い止めてもらいたい。そして一人でも多くのプレイヤーに、アストルティアを訪れてほしいのだ。そのチャンスを増やそうという努力をこそ、私は評価したい。


 最後に白状する。私の3DS版の用途はニッチである。実家に帰る時、WiiWiiUもない環境で3DSだけ持って帰ればDQXを遊べるなら魅力的だな、というただそれだけである。そして、今更恨み言を言いたいわけではないが、類似の環境を作るために私がFF11に投資した額は10万近くにもなる。超小型PC*5を買うくらいしか方法がなかったからだ。3DSなら遥かに安くて済む。それもまた、ゲームを遊ぶためのハードルを低くする努力だ。
 もちろん、今憤っている人たちの怒りを否定するつもりはない。*6ただ、本当の評価を下すのはもうちょっと落ち着くのを待ってほしい、と切実に願っている。そして、スタッフには是非このトラブルに負けないでチャレンジを続けてほしい。
 しつこいようだが、最初の一歩を踏み出すことは、何もしないことより遥かに偉大なのだから。

*1:アンチ任天堂系のゲハブログサイトなども含め。

*2:ただし、いつも混雑している1鯖ではない。

*3:DQXにはソフトウェアキーボードが備えられているが。

*4:検索しても出てこない。

*5:具体的には中古のVGN-UX50。

*6:トラブルに便乗している実プレイしていない愉快犯やアンチについては「ブタやろぅ地獄に堕ちろ」と思っているが。