向いていないゲーム

新作格闘アクション「SNKヒロインズ TAG TEAM FRENZY」をNintendo SwitchとPlayStation 4でこの夏発売


 このトップページにいるキャラ、クーラとアテナなのかな。

 それはさておき、今まであまり書いてこなかったSwitchについてのネガティブなエントリになるんだけど。
 Switchは「2D格闘ゲームに向いていないハード」だと思う。
 SNKが古いゲームをバリバリ移植してくれてるのは、それはそれでファンとしてはありがたいのだが、ちゃんとユーザーの反応とか見てるんだろうか、などと考えてしまう。
 Switchが2D格闘ゲームに向いていないというのは次の理由からだ。
 Switchは遊び方の幅を広げるために、本体左右に配置されているコントローラ(Joy-con)を独立させて、2つの単独のコントローラとして動作させることが可能だ。この時、左側に配置されている方向キーは、4つの通常ボタン(A〜Dボタン)として動作する。逆に言えば、Switchの方向キーは、通常ボタンとしての機能を兼ねている、ということになる。


Joy-Con (L) / (R) グレー

Joy-Con (L) / (R) グレー


 DualShockPSP3DSなど、古今のゲーム機のコントローラの方向キーのほとんどは、十字ボタンとも呼ばれ、その名のとおり「十字」をしたボタンである。DualShockなどの場合、一見すると方向キーの4つのキーはそれぞれ独立しているように見えるが、実はこれは見た目だけで、4つのキーは連動している。試しに上キーを押すと、下キーが上に持ち上がる。左右も同じ。つまり真ん中が埋まっているだけで、やはり十字のキーである。
 ところが、Joy-conの方向キーはそうではない。分離した時通常のボタンとして動作させる関係上、それぞれが独立したキーとなっている。上を押しても下は持ち上がらないし、左右も連動していない。
 するとどうなるか? 斜め入力が完全な同時押し以外受け付けないため、入力がシビアになるのだ。
 方向キーが十字となっている場合、下から斜め右下、そして右へとキーを入力するには、下から右へぐるりと指を回せばよい。ご存知波動拳コマンドである。右下への入力は、特に同時入力を意識しなくても、指をなんとなく斜め下方向に置けば入力できるようになっている。
 ところが、キーが独立していると、まず下を入力、それから下を離さずに右を入力、それから下を離す、と順番にキー入力しないと、コマンドを受け付けてくれない。指を方向キーの上で滑らせるような入力では、斜め要素である同時押しが順番どおりに認識されないためか、コマンドが入らないのだ。
 昇竜拳はもっと酷い。右、下、右下なのだが、右を入れるときは下を離し、下を入れるときは右を離し、それから右と下を同時に押す必要がある。十字キーならレイジングストームコマンド(左下、右、右下、下、左下、左、右下とB+C)でも何とか撃てる私だが、Joy-conだと昇竜拳すらおぼつかない。
 アナログスティックで入れれば……と思うかもしれないけれど、実はアナログスティックも2D格闘のコマンド入力には向かない。ジョイスティックに似ているように見えるが、きっかり8方向しか認識しないジョイスティックと違って、曖昧な入力を受け付ける仕様のためか、やはり正確なコマンドをなかなか受け付けてくれない。
 恐らく、3D格闘ではコマンド入力体系そのものがこれらと違うので、苦にならないと思われる。あくまでも「2D格闘ゲームの特殊なコマンド入力とJoy-conの特殊な方向キーの相性が悪い」のだ。

 現状の解決法は単純で、Proコントローラを接続すればいい。ただ、それではSwitchの携帯性が損なわれてしまう。私はJoy-conを分離して使う機会はないので、本当に欲しいのは「Joy-conの、方向キー部分だけが十字キーになったもの」だが、それはまだ存在しないし、需要の低さを考えると、今後も登場する見込みは薄そうだ。