インフィニティウォー予習シリーズ第2弾


 この間のホームカミングが思ったよりよかったので、第二弾を。なかなか出かける時間もないしね。

 というわけで、見ました。「ドクター・ストレンジ」。感想は……まぁ、その(微妙な顔)。




(以下ネタバレあり)










・「ドクター・ストレンジ」の感想は、ホームカミングとは対照的だ。ホームカミングが「どうなの? と思うポイントがあるにはあるが、全体としては面白かった」なのに対して、こっちは「面白いと思うポイントは何箇所かあるが、全体としてはどうなの?」という印象。


・全体の作りも同様に対照的で、こちらはドクター・ストレンジのことを何も知らなくても分かるように「天才外科医が交通事故で両腕に大怪我をして全てを失い、わずかな望みを繋いで魔術の門を叩く」までの経緯がちゃんと描かれていた。


・ではどこが微妙なのかというと、まず一点目は「魔術」の演出。これ、この作品の肝だと思うんだけどなぁ……。


・今までのマーベルシリーズの「CGをふんだんに駆使して、実在していないものをあたかも存在しているかのように見せる」演出は凄いと思うけど、この作品ではミラーディメンジョンやらアストラル体やら、元々実在感のないものを演出しているので、やっぱり現実味が薄くて、いかにも作り物に見えてしまう。また、そういうものに限って、今までのマーベルのような外連味のある演出がされていないので、なおさらそう感じる。もっと魔方陣を出しまくってもよかった。


・典型的なのが、敵のカエシリウスが使う「剣」。空間を歪めて不可視にしてる剣の演出なんだろうけど、傍から見ると「手元がぼやけてる」ようにしか見えないので、戦闘シーンがいかにも地味。ドクター・ストレンジが使う炎の鞭っぽいのは派手で格好いいので、敵味方あれを使うんじゃダメだったのか。


・中盤の山場であるカエシリウスとエンシェント・ワンの一騎討ちも同じ。手元に魔方陣を召喚してるあたりはいかにも魔術師っぽいけど、やってることは「ひたすら相手を殴る」なんで、魔術師っていうよりむしろモンク同士の戦いに見える。アストラル体での戦いですら、中身はやっぱり素手で殴り合い(笑)。指輪物語ガンダルフも殴り合ってたし、魔術師のイメージって結構肉弾戦なんだろうか。


・その影響が一番強いのがクライマックスの戦闘。「ストレンジが周囲の時間を逆転させ、壊滅した町の被害を元に戻していく。逆行する時間の中で敵と味方の時間だけが逆行せず、通常の時間が流れている」というのが、まったく演出に現れないので、ただフィルムを逆回しにしているだけに見えてしまう。高度なCGを使っているにも関わらず、何が起きているのか非常にわかりにくい戦闘になっている。


・そして二点目。クライマックスがあまりにもしょぼい。


・破壊神の力を利用して「永遠の生命」を手に入れようとした悪役、カエシリウスの最期が「自滅」なのはいかにもドクター・ストレンジっぽくてまあいいとしても、その破壊神ドルマムゥとストレンジの取引の内容が「ドルマムゥがうんざりするまで負け続ける」なのは「ハァ?」としか言いようがなかった。同じことを何度も繰り返されて辟易する「時間を超越した、超宇宙的な存在」って何なんだよ。全然時間超越してないじゃん(笑)。


・あと、クライマックスだけではないがストレンジが戦闘を避けたがるのも「うーん」という感じ。スパイダーマンが敵を殺さず、手を差し伸べるのは「ご近所ヒーロー」だからだ。「親愛なる隣人」だからこそ、世界の命運などとは関係なく、むやみに敵を殺さない(殺したがらない)。しかし、ドクターストレンジが「自分は医者だから相手を殺さない」と言い、しかもその相手の末路が「死よりも恐ろしい苦痛を永遠に受け続ける」だったのは、どう考えてもおかしいだろう。


・あと、悪役カエシリウスとストレンジに因縁がほとんどないせいで、ほぼ徹頭徹尾登場するにも関わらず、カエシリウスの影がいまいち薄い。ずっとストレンジの隣に立ってたモルド(原作ではヴィラン)が普通に敵でよかったんじゃないか。


・ストレンジのマントが可愛いとか(飛行魔術じゃなくてマントの力で飛んでたとは知らなかった)、Wifiのパスワード渡すところとか、個々に面白いシーンもなくはないんだけど……。「インフィニティウォーで助言者役で出さないといけなかったんで、とりあえず急ぎました!」みたいな雰囲気が拭い切れないのがなんとも……。それでも、生理的に受け付けないシーンがなかった分だけ、アントマンより評価は高いけれども。