ちょうど、東方キャノンボールというゲームのレミリアを田村ゆかりさんがやっているというのを見たばかりだったので、あの声で「クックックッ」をずーっと言っている姿を想像してしまった(笑)。
補足
この動画は、最後ファミ通を擁護するような形で終わってるけど(私はそもそも「Wikiを丸写しした」という噂自体を知らなかった)、動画主が少ししか触れていないFF11の顛末について、私の知る範囲でもうちょっと補足しよう。
実は、FF11内の「ファミ通vsネット」の図式は、有名な暴言の「赤だけかな最悪は」に始まった話ではない。もっとずっと前、FF11のベータテストにおいて、ファミ通編集部が「雑誌内の企画のためにHNMを譲れと他プレイヤーに持ちかけたことに反発が起きた」という事件が存在する(経緯はこの辺り)。後に製品版で、ファミ通編集者と同じサーバから移転してきたプレイヤーが私のフレンドにもLSにも複数おり、似たような話をしていたので、一度ならずあった話だと思われる。
前述の経緯を読む限り、ファミ通側と2ちゃんねる側、どちら側もマナー的には褒められた話ではない。しかし、問題はそこではない。「ベータテストの段階で、既にファミ通編集部プレイヤーがネットで反感を買っていた」というのが問題なのだ。前に「赤だけかな最悪は」の記事で書いたとおり、この当時、既にファミ通編集部はFF11プレイヤー層にキャッチアップできていなかった。
これに対して、電撃の旅団は他プレイヤーに非常に気を使い、ゲーム内のマナーは模範的だった。意識的か無意識にかわからないが、明らかにファミ通の轍を踏まないよう細心の注意を払っていた。雑誌取材だからと無理を通したという話も聞かない。ガルレージュ要塞で編集部のオショウ氏とパーティを組んだことがあるが、本当に紳士的な態度だった。後に一般プレイヤーからも協力者を募っていたが、ゲーム内マナーには徹底して釘を刺しており、ファミ通のような騒動や、プレイヤーからの反発があったという話は聞かない。ファミ通編集者が蛇蝎のごとく嫌われていたのとは対照的である。
ファミコンマガジンのWikipediaにもあるように、ファミ通という雑誌は元々後発の雑誌であり、スタンダードな攻略雑誌に対するカウンターメディア的な位置にいた。面白いことなら何でもありという、インディーズ的な、ゲリラ的な面白さ。女神と悪魔のコーナーやしあわせのかたち、渡辺氏のショートショートなど、ゲームにまったく関係ない記事も多くあった。反体制っぽい姿勢だったはずの同誌が、いつの間にか「雑誌の権威」をオンラインゲーム内で振りかざす、メディアという権力の象徴のような存在になってしまったというのが、FF11内でのファミ通という雑誌の評価だった。
実はファミ通自体、この状況を良しとせず、挽回を図ったことがある。ファミ通の姉妹誌であるファミ通WAVEDVDでは、ででお氏など前出のライターの関わらない形で、編集長のルパン小島氏を中心としたFF11の特集が幾度も組まれ、別冊雑誌も発行された。攻略ではない二次創作的な特集*1が目立ったのは、本誌の効率主義を責められたことに対応してのことだろう。
ところがこれも、ファミ通WAVEDVD(後にGAMEWAVEDVD)という雑誌自体の低迷に伴い、サポートも消滅してしまい、名誉を挽回することは適わなかった。雑誌の末期には明らかにクオリティが落ち、編集長の病気を収録動画で出演者がネタにするという、ある意味異常な状態だった。その後編集長が他誌に移籍したことを考えても、あまり望ましい状態ではなかったのだろう。それと前後して、攻略雑誌もアンソロジーも漫画雑誌も中途半端な状態*2で全て打ち切られている。*3
動画では「(テイルズオブリバースの)丸写しは誤報、冤罪だった」とまとめられている。誤りは正されるべきであり、正しい情報が広められるべきだ。しかし、私自身のFF11を通じたファミ通への評価は覆ることはない。テイルズオブリバースの話と違い、雑誌記事での暴言もコミック誌やアンソロジーの打ち切りも、厳然たる事実だからだ。今回、FF11に関する情報を集めようとして、それらも多くが消えているのを知って驚いた。*4誤った情報が正されるのと同じくらい、正しい情報が風化することも望ましくない。特に、ファミ通の元編集長が、e-Sportsの元締めなどという体制の権化みたいな立場に立つようになった今となっては、なおさらである。