出典はどこに消えた

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 ニコニコ大百科の急上昇ワード改に挙がっていたので、懐かしい言葉だと思って眺めていたら、創作の可能性があるとか、掲示板の方では名誉棄損じゃないかなんて言ってる人がいたので、元FF11ユーザーとして、自分なりの見解を書いておこう。

 まず、この発言をリアルタイムで知っていた人間としては、ずっと後になってから騒がれた発言ではなく、プロマシアの呪縛発売後ほどなく話題になった発言であることは断っておきたい。
 当時はツイッターも存在せず(プロマシア実装はTwitterサービス開始の2年前)、まとめサイトもブログサービスもなかった。一番影響力があったのは雑誌など紙のメディア、そして攻略サイトなどの黎明期のインターネットサービスだった。
 雑誌記事は紙メディアの宿命として、今のようにリンク先さえ記載されていれば誰でもソースを当たることができるものとは違う。仮に、当時出典を明らかにしたサイトがあったとしても、それらはライブドアサービスなど初期のインターネットサービスの終了に伴って消えてしまい、残っているのが二次引用、三次引用ばかりになってしまったということは考えられる。まして今となっては、あの頃のファミ通や電撃を全号保存している読者などいたとしても稀だろう。
 攻略サイトは今のようにゴシップ的な話題をまとめることはなかったし、開発者の発言を創作したとしても、それが現在のように同時かつ広範囲にヴァナディール中に拡散するというのはちょっとピンとこない。


 では、何故私がこの発言が信憑性のあるものと思っていたかというと、当時の開発者たちの姿勢からである。私の手元に残っている記事を軽く調べただけでも、以下のような発言が確認できる。


「勝利」の価値が下がっちゃう 

ファイナルファンタジーXIヴァナディールワールドレポート ver.050224 2005年4月8日初版発行 スクウェア・エニックス発行 P710 左段13行目


「勝てないプレイヤーが半分くらいになるような調整にしました」

ファイナルファンタジーXI電撃の旅団公式十年事典 2013年3月12日初版発行 アスキーメディアワークス発行 P216中段7行目


 なお、前者は本文にあるとおり「救済のために用意した」クエストの話で、後者は赤魔道士全員がクリアしないとレベル上げもできなくなる上に、交戦権を得るだけでもレアアイテムが必要になるクエストの話である。
 上記は決して特異なケースではなく、当時の開発者の姿勢を示す端的な例だ。これらを考慮すると、同じ開発者が違うインタビューに対して「簡単にクリアできたら~」と発言したと言われてもまったく違和感がなかった、というのが当時の私の心境だった。ただ(本意ではないが)擁護するとするなら、あの頃は今と違い、オンラインゲームの運営のノウハウを持ち合わせる会社などほとんどない、そういう時代だった、とは言えるかもしれない。