キティちゃんは草


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 いかなるコラボも断らない→マツケン=キティちゃん説は草なんよ。

続きです


 私が本書で最も高く評価しているのは、シチュエーション07の戦闘の項目である。
 中でもこの部分だ。

 シナリオの内容やゲームシステムによっては、「ここからはクライマックス戦闘なので、戦ってください」と指示される場合もあります。そうしたゲームの場合は、戦闘そのものを楽しむようにゲームデザインされていることがほとんどなので、プレイヤーも変に駄々をこねず、思う存分戦いを楽しみましょう。
  ──「異世界冒険ガイド(初版)」101ページ これ以外の書籍情報は上記Amazonリンクを参照


 こう書かれているが、SNEの手掛けるゲームのシステムで、クライマックスフェイズが存在する、つまりアリアンロッドでいうフェイズプロセッション制を採るゲームは存在しない。つまりこの文章は、完全に他社製のゲームを意識し、配慮したものである。これは高く評価したい。私が初日のエントリで「この本はソードワールド2.5専用の本ではない」と言ったのは、上記のフレーズがあったからだ。
 この部分だけでも、この「異世界冒険ガイド」は、かつてのSNEのコレクションシリーズのように、自社のゲームも他社のゲームも包括的に扱おうという精神が垣間見えて好感が持てる。

実行不可能なのでは……

 と、持ち上げたところで、逆の評価を下さざるを得ないパートも紹介しよう。勘の鋭い人はもうお気づきかもしれない。
 シチュエーション10、町の中の情報収集、である。
 正確に言えば、これは「異世界冒険ガイド」への低評価というより、この本が想定するソードワールド2.5への低評価というべきかもしれない。この「町の中の情報収集」に記載された冒険ガイドの内容を、ソードワールド2.5で実行できるか? という問題だ。

 その人物の好物を手土産として持参したり、酒をおごったり、ときには弱みを握って話を聞き出したりと、工夫を凝らすのもいいでしょう。
  ──「異世界冒険ガイド(初版)」136ページ これ以外の書籍情報は上記Amazonリンクを参照


 この方法は、アリアンロッドでも、D&D5thでも、ブレイドオブアルカナでも有効だろう。何故ならこれらのゲームであれば、情報収集についても、相手との交渉についてもルール化されているからだ。上記のような行動を取るとプレイヤーが宣言したら、GMとしては状況ごとに適切な技能での判定を求めればいい。
 しかし、ソードワールド2.5ではどうだろうか。交渉について判定を行うことがルールで封じられており、基本ルール添付のシナリオはおろか、それ以降のシナリオに登場するNPCでも好みも、弱みも全く書かれていない状態で、上記の行動についてGMが適切に判断できるだろうか。少なくとも「初心者」へのガイドとしては少々厳しくないだろうか。
 この次の項目で「冒険に役立つ施設」として更なる情報収集が可能な施設が紹介されているが、どの情報をどうやって出すかの基準が明らかにならないのは前の項目と同じである。少なくともこれらを読んでも「ザルドルの闇に沈む」の進行の参考になるとは思えない。

総評

 この本は、ソードワールド2.5だけでなく、アリアンロッドD&DGM、プレイヤーいずれにとっても参考になる。初心者ならなおさらだ。シティアドベンチャー関連の項目についてはソードワールド2.5のプレイヤーが参考にするのは難しいかもしれないが、私はソードワールド2.5はシティアドベンチャーに致命的に向いていない──そもそも、対人交渉がルールで処理できないゲームでシティアドベンチャーをやるのは非常に無理がある──と思っているので、仕方がない部分である。

 最後に、シティアドベンチャー関連以外で本書の欠点を一つ指摘しておこう。それは、ガイド役となっている3人のキャラクターのソードワールド2.5ベースのデータがどこにも掲載されていないことである。GMとプレイヤーが本書を読んでセッションに臨んだら、ここでガイド役となる3人に親しみを持ち、フェローとして登場させたいと考えることもあるのではないだろうか(個人的にはフェローのルールは好きではないが)。あるいは、単なるNPCとして登場させたいと思うこともあるかもしれないが、本書にはそのためのデータがない。
 本書の記述からすると、執筆者は3人のキャラクターのレベルを含めたデータをある程度想定していると思われる。それが本書の巻末にでも掲載してあれば、初心者GMから見るとより助けになったと思うのだが。