アイスフライは……


 一つだけツッコませてもらうと、アイスフライはフライ(蝿)じゃなくて、ドラゴンフライ(トンボ)だろう……羽根も4枚あるし。ドラゴン族なのもそれに引っ掛けているんだと思うぞ。

私とは印象が違う


 この人のレビューには大筋で賛同できることが多いんだけど、今回のレビューについては重要な部分で賛成できない。恐らく一種の逆張りと、あとこの人は映画を見る前にマンガを読んでいたと推測する。「制作陣は作中で説明すべき」という指摘ができるのは、不十分なストーリーを、脳内のマンガの知識で補完できていたからではないだろうか。
 私はこの作品を、映画を先に見てからマンガを読んだ。つまり、映画を見た時点では、作中で説明されないことは「意味不明」だった。マンガという、映画外の要素での補完一切なしでいうと、主演の演技よりストーリーの方が遥かに破綻していた。ここでいうストーリーには、それを描写する演出も含む。

 アモンとは誰なのか、シレーヌはいきなり出てきて退場して何の意味があったのか、サタンはどうしてデーモンなのに警官の格好して銃を持っていたのか、一言だけ煽ったきり二度と出てこなかった小林幸子には何の意味があったのか、デーモンとの戦争で街が荒廃したと言いながら町の様子がただゴミが散らばっているだけのように見えるのはなぜか、世界で戦争が起こったといいながら執拗にショッピングセンターの街頭テレビばかりを映していたことに何の意図があるのか……。
 この辺りのプロットには、作中全く説明がない。この作品は、冒頭からエンディングまで適当なシーンだけを繋げただけで、起承転結も伏線もない。セット……は金がかかっているようには見えなかったが、莫大な金がかかっているはずのCGにさえ全く心惹かれないのは、脈絡が不明なまま唐突にCGシーンだけが挿入されるせいで違和感しかないからだ。脚本がダメな上に統一された演出意図がまるでない。私は、演技の拙劣さよりもそちらが気になった。シレーヌなんて「私と戦え、アモン」くらいしか台詞がないのだから、演技が上手い下手以前の問題である。*1
 「未来のミライ」の時にも書いた気がするが、脚本と構成が良ければ、他の部分には多少粗があっても目を瞑れる。しかし逆に、脚本と構成がダメだったら他に見れるところがあっても受け付けられない。少なくとも私はそうだ。「これは伝説の駄作だ」という先入観を持ってみれば拍子抜けかもしれないが、評判を知らずに劇場で見た人間からすれば、見るべきところは何一つなかったというのが率直な感想である。

 最後にもう一つだけツッコむと、デビルマンを「実写化の悪夢の原点」というのも、当時の感覚からするとちょっと違う。実はあの前後で「実写版キューティーハニー」や「実写版忍者ハットリくん」など、アニメの実写化作品が何作もあった(全てデビルマンと同じ2004年で、公開時期はデビルマンより早い)。
 中でも「実写版キャシャーン」は「宇多田の歌以外見所がない」「超長い宇多田のMV」などと言われており、「あのキャシャーン」を越えてきたのがデビルマンという印象だった。だから、原点といってしまうと、むしろそっちが思い浮かぶ。ただ、あちらはデビルマンほどは酷くなかったので、評判が後世まで残らなかったのかもしれない。

*1:余談だが、Youtube広告でデジタルツインの富永氏の広告をよく見かける。デビルマン以後どれだけのキャリアを積まれたのか存じ上げないが、私にとってはいつまで経っても「シレーヌの人」以外の何者でもない。そう考えると恐ろしくもある。