サイバーパンク世界の神々たち


 前にも書いたことがあると思うけど、サイバーパンク2077の世界においては、この動画でいうところの2大巨頭、アラサカとミリテク、他にナイトシティの中心、コーポプラザに屹立するアーコロジーの所有者たち──つまりバイオテクニカ、カン・タオ、ペトロケム、この5つの巨大企業がナイトシティに君臨する「神々」だ。サイバーパンク世界の中心であるメガコーポがどのような設定を持っていて、どのように世界を支配しているかというのは、それぞれの作品を特徴付ける非常に重要な要素だ。

 ところで、私の好きなTRPGトーキョーN◎VA」において公開された一番最初のエピソードは、サイバーパンク2020のリプレイをリライトしたものである。古いトーキョーN◎VAプレイヤーの中では有名な「振り向けば死」というリプレイだ。
 だからというわけでもないが、この2つのゲームの企業の構成は割と似通っている印象がある。巨大な日系企業の「千早重工」と巨大な北米企業である「テラウェア」、この2つが鎬を削る世界である(2番目に日系企業の「イワサキ」を挙げる人もいるだろうが)。千早重工はどちらかというとミリテクのような兵器開発などの重工業が中核にあり、逆にテラウエアはレ・トロン・ド・ルテチアという会社を買収したぐらい、コンピューターソフトウェアの技術開発が中心になっている(もちろんモデルはマイクロソフトだろう。社長のウィリアム・多門がビル・ゲイツに似ているし)というのが、両ゲームの差を表しているようで面白い。2077のビッグ5には、なんとソフトウェア開発を主産業とする会社が一つもないのだ。

 三大サイバーパンクTRPGのうちのもう一つと勝手に思っている「シャドウラン」だと、メインの悪役となる企業はアズテク(アズテクノロジー)という会社で、これは日本とも北米とも直接関係なく、南米に本社を置き、魔術的なオカルト技術に長けているという特殊な企業であり、なんと社長はドラゴンだ。一応シアワセコーポレーションという日系企業が登場するが、そんなに存在感があるような印象はない。

 ところで1つ疑問なのが、荒坂三郎のモデルが元ゼロ戦パイロットの坂井三郎氏であるという話だ。この情報は他でも見かけたことがあるが、元のソースがどこなのか今一つわからない。外国でも有名なゼロ戦パイロットというと坂井氏くらいなのかもしれないけれど、日本人の観点からすると、坂井三郎氏と荒坂三郎には元戦闘機乗りというのと名前以外あまり共通点がないようにも見えるのだが。