機を逸したのでは

game.watch.impress.co.jp


 申し訳ないけど、機を逸した感はあるな……。最初にβテストをやったタイミングならともかく、今このトゥーンレンダリングされたキャラクターと世界観って原神と被りまくってる。キャラメイクできるのが違いだったけど、それも幻塔に先を越されてるし。
 あとはブルプロならではの特徴っていうと、ガチャなしでも楽しめる、っていうところだと思うんだけど、それはマネタイズをどうするかという話と裏腹だし……。いっそ、アクション要素を極限まで削って原神や幻塔とは違うゲーム性にした方がまだ差別化が図れそうだ。応援したい気持ちはあるんだけど、うーん。

新旧サイバーパンクの話、続き


 昨日の話の続きである。
 昨日「VはTRPG版では再現できない」と書いたが、その理由は「Vはインプラントできるサイバーウェアに上限がない(あるいは、TRPG版で許される上限をはるかに超えている)」からだ。Vと同レベルのサイバーウェアを埋め込んだら、とんでもない超人が生まれてしまう。



 ただ、ここが少々ややこしいのだが、「サイバーウェアを埋めれば埋めるほど人間性を失い、最後は発狂する」というのは、サイバーパンクTRPGに必須の要素ではない。日本語環境で発売されたサイバーパンクTRPGのうち、2077の原型になったサイバーパンク2020とシャドウランにはこの要素があるが、メタルヘッドトーキョーN◎VAには人間性を失う要素はない、むしろ「同じ部位でなければ、金が許す限りいくらでもサイバーウェアを入れられる」ゲームだ(トワイライトガンスモークについては知見がない)。



 これは前にも触れたことがあるが、科学技術の進歩とともに「怪我で義手や義足にした人間が人間性を失っていくなどということがあり得るか?」という仮定に対する事例が蓄積されたことも理由の一つだろう。
 2077自体、人間性喪失のシステムがない以上、エッジランナーズのデイヴィッドやメインが人間性を失っていく要素は、いわばサイバーパンクとしては先祖帰りに近い。2020から2077になって(少なくともプレイヤーキャラクターからは)なくなった要素が、再び蘇ったような感じだ。

 ところで、エッジランナーズを見ている人たちの多くは、TRPG版の2020やRED、シャドウランなどプレイしたことのない人たちだろう。同じサイバーパンク作品で有名な攻殻機動隊などを知っていたとしても、それらにはサイバーサイコシスの要素はない。そんな人たちがエッジランナーズを見て、あるいは2077のゲーム中でサイバーサイコシスを発症する人々を見て、彼らがなぜ周りの人間に襲い掛かるのか、その理由のイメージができるだろうか。
 私自身に関しては、ある作品に会うまで具体的なイメージは浮かばなかった。身体に機械を埋め込んで人間性を失うというと、なんとなく「情動を失う」とか「ロボットのように機械的な反応しか示さなくなる」という「機械に近くなる」というイメージで「暴走して周りの人間を殺しだす」というのがよくわからなかったのだ。
 はっきりイメージが掴めたのは、A.D.Police「舌を噛む男」という作品を見た時だった。この作品は、まさにサイバーサイコシスそのものがテーマであり、サイバーサイコと化す男の心情をそのまま描写しているからだ。


www.b-ch.com


 これに関しては、作品の概略を私が書くより、作中の張本人のモノローグを一部引用した方がわかりやすいだろう。

 俺の体は、痛みも何も感じない。
 全ては単なる情報として、脳に入力されるだけだ。
 浮遊感覚──そんな時、俺は舌を噛む。
 たった一つの生身の部品。
 その痛みこそ、俺が人間であることの唯一の証なのだ。

 俺は狂ってる 俺は何をしているんだ
 こいつらは何だ 俺は誰なんだ 俺は
 俺を殺してくれ
 駄目だ、こいつらは弱すぎる こいつらがいけない
 俺を殺してくれェェェェェ!

 痛みを感じさせてくれ
 何も感じない 脳だけが宙に浮いている
 痛みをくれ 人間なんだ俺は
 舌を撃ってくれ


 ……これが、この作品でサイバーサイコと化し、同僚である警官に撃ち殺された男のモノローグである。
 体を機械に換装したことにより、痛みを感じなくなり、生きる実感を失い、殺されることで──あるいは、殺すことで自分が人間であることを証立てようとする。

 とはいえ、あくまでもサイバーパンク2020、そして2077におけるサイバーサイコは一様ではなく、状況も様々なので、全てが上記のような事情ではないだろう。というか、2077をやっているとサイバーサイコというのは警察にとって都合の悪い──抹殺した方が都合のいい──犯人へのレッテルのようにも思えてくる。店舗を騙し取られた脱サラ一般人がサイバーサイコ扱いになるのは、どう考えてもモヤモヤする(笑)。



 仮にサイバーサイコから「人間」に戻れたとしても……そこに待つのは、マックス・タック、つまり対サイバーサイコ部隊への道だ。

接続された人々


anond.hatelabo.jp


 私はVtuberに割と肯定的な人間だと自認しているけど、あえて告白する。Vtuberの存在を知ってティプトリーの「接続された女」を連想したの、私だけじゃなかったんだな……。何しろ、Googleに入力したらサジェスト検索で出たし。コンピュータすら一般的でなかった時代にこれを書いたティプトリーという作家は、やはり天才だった。