最終章第4話


 最終章第4話を劇場で見てきた。以下ネタバレありの感想のため折り畳む。














・劇場内に貼られていたポスターでも「あんこうチーム陥落」と書いてあったので、あんこうチームは第3話のラストで脱落していたのを改めて認識した。リアルタイムで見た時そこがよくわからなかったんだけど、その後で映像化されたものを見たら白旗が上がっていたし、やはり撃破されていたようだ。


・実は、その後の会長のセリフで戦車道の試合の根幹に関わる重要なことをポロっと言っていた。「あんこうチームが撃破されても引き継ぎは済んでいるよ」と。確かに、過去の試合を見ていて自明なことだと思うけれど、戦車道の試合においては、撃破されたチームは実効戦力として参加できないというだけではなく、作戦立案など試合中のチームとの会話にも参加できない。つまり無線通信そのものができないという設定になっている。
 だから、撃破されると指揮もできないのだが、それを前提に考えると会長の「引き継ぎは済んでいる」というのはどういう意味なのか。撃破されてからごく短い時間でカメさんチームに何か伝達していたなら反則だし、通常の敵に押されて負けるというのと違い、狙撃手による撃破というのは全く予測ができなかったはずだ。
 恐らく、いわゆる机上演習の一つとして、もしあんこうチームが撃破されたらどうするというケーススタディをしてあったというのが順当なところなんだろうけれども。


・それに続く展開も、特に根回しはされていなかったようだが、ウサギさんチームが次のリーダーになるというのは規定路線っぽい感じではあった。今回の大会、初対戦となるBC学園を別として、知波単学園も、そしてこの後に出てくる黒森峰女学院も聖グロリアーナ女学院も全て、テレビ版本編で活躍した選手たちの後継者、活躍してきたチームの未来がどうなっていくのかというのを示唆している。それが最終章のテーマの一つなんだろう。


・途中雪の斜面を滑り降りるシーンは今回の見せ場で、めちゃくちゃ迫力があるし、絶対に実写では撮影できないという意味では前回の知波単のジャングルでの戦闘に匹敵するシーンだ。凄すぎて体調が悪い時にあれを見たら酔うかもしれない(笑)。


・ミカが主砲の砲撃で雪崩を起こしたのは、戦車道の試合的にはどうなんだろうと思うところはある。というのは、今さら雪の斜面を猛スピードで降りてきた戦車が転がって中の乗員の無事かどうかなんていうのを突っ込むほど無粋ではないけども、雪崩は自然現象で、戦車の攻撃の衝撃とは違う。テレビシリーズでみほが黒森峰を追われた理由は、川の濁流に飲まれた僚機を救おうとしたからだ。あれはそのままだと危ないと思ったから助けたのであり、だとしたら雪崩は危なくないのか、っていうのはちょっと疑問だった。まぁ、ルールすれすれのことをやるのはいかにもミカっぽいと言われればそうなのだが。


・そして、準決勝第二試合も、結果としては順当オブ順当という感じだ。元々島田愛里寿の母親は聖グロリアーナ女学院出身であり、母親と同じ学校に入ったのなら違和感がない。だとしたら、試合の結果もあれしかありえないだろうな、という。愛里寿が登場した瞬間の黒森峰の死亡フラグの立ちっぷりが可哀想だった。知っている人は知っていると思うが、劇場版の映像特典「愛里寿・ウォー」で、愛里寿が大洗に転入してこようとして、みほと戦えなくなるからやめるというエピソードがあるので、それを考えると大洗の対戦相手に転校してくるのは当然だ。


・ただ、ガルパンは映像作品と映像作品の合間に挟まれる公式スピンオフがあまりにも多すぎて記憶から飛んでしまっている。愛里寿が聖グロリアーナ女学院に転入しようとして、紅茶の時間が多すぎてやめるというエピソードがあった気がしたんだけど、今回探し出せなかった。4コマだったか、ドラマCDだったか……。それともそもそも愛里寿のエピソードではなく、あんこうチームの誰かが聖グロリアーナに招かれるエピソードだったかもしれない。


・継続高校との試合後にあった学園艦でのサウナのエピソードも、スピンオフ漫画だと彼女たちは学園艦に帰れず、あちこちの学園艦で飯をタカって回る、という作品もあったりして、どれが正史でどれが並行世界扱いなのか、ごっちゃになっている。



・もうこれはガルパンの唯一の弱点と言ってもいいと思うけど、とにかく公開の間が長すぎる。パンフレットでも言われていたけど、テレビ版の頃には新人だった出演者の人が、大御所になってしまうくらいだ。次回は来年とは言わないけれど、5話と6話の間はもうちょっと短くしてほしいというのが切実な希望だ。15年がかりのコンテンツなんてロングランなんてもんじゃない。先程のスピンオフも、本編ではなく最終章製作委員会名義の作品だが、3年前に完結してしまっている。


・そして、その5話と6話だが、どうしても計算が合わない。これは前にも書いたかもしれないが、5話と6話で決勝戦をやるとして、今回と同じ方式で試合に約1時間かかるとすると、丸1話分が余ってしまう。試合前のエピソードとエピローグだけで、合わせて1時間も使うだろうか。かといって、これからちゃぶ台を返して劇場版のような展開を1試合分挟むには、残りの尺が足りない。もちろん最後の6話が特別版で2時間になるという可能性もゼロではないが。本当に今回の目的は最後まで桃ちゃんの大学進学というテーマで行くのか、それとももう一波乱あるのか。それは今回も明らかにされなかった。今後が非常に気になる。