ようやく観れた。大半の劇場は2月中で公開が終わっており、新宿バルト9でなんとか滑り込みで間に合った感じ。
といって、別に来場者が少ないわけではなく、公開から1か月経っていても座席はほぼ満員だった。
以下、ネタバレありのため折り畳む。
ネタバレといっても、劇場版のストーリーはほぼ原作に忠実なものとなっている。順番こそ変えているけれども、原作序盤のエピソードで、内容的にもほとんど変更点がない。ゆるゆりの劇場版は「ごらく部のメンバーでキャンプに行く」というほぼオリジナルのエピソードだったが、本作は劇場版ならではというようなオリジナルエピソードはなく、原作のショートエピソードの集合体だ。
もっと言ってしまうと、大室家のテレビシリーズを作るとしたら、これが1話と2話だろうな、という内容だった。といってもつまらなかったとか質が低かったというわけではなく、きちんと丁寧に作られていた。
また、気になっている人もいるかもしれないので記しておくと、向日葵の家はアニメ版一期、二期で登場した団地ではなく、原作及び劇場版第三期に準拠した一軒家となっている。
今回、劇場版を見て改めて感じたのは「櫻子は偉大だ」ということだった。大室家の映画化なのでごらく部のメンバーは冒頭にほんの少しだけ登場するだけ。本作の中心は大室家と高校生組と小学生組、というほぼ原作通りの組み合わせで物語が進行する。そうなるとやっぱり、この物語の狂言回しは櫻子なのだ。
小学生組のエピソードも、櫻子が茶々を入れてくると話がオチる。逆に高校生組の方は櫻子が絡むことがない。めぐみが仲間からいじられる役なのだが、櫻子やごらく部でいうところの京子のように、話を混ぜ返したり、かき回したりすることがない。なので、櫻子が場面に登場すると、なんだかホッとする。
基本的には安心して見られる、ほんわかと和やかな空気の作品だったはずなのだが、終わって席を立ったところで、後ろの方に座っていた観客から「素晴らしかった、本当に最高だった」という声が聞こえた。
「えっ、そんなに肩肘を張って観るような作品だったっけ?」とちょっと驚いてしまったけれど、よくよく考えてみたら、もしそれがゆるゆりのファンの人だったとしたら、前の劇場版から8年越しの新作の劇場版に感極まり、思わずそんな言葉が口をついて出たとしても、不思議はないかもしれない。
内容については原作どおりなので、改めてここでは書かないけれども、意外といえば意外だったのがオープニングである。冒頭に予告編と並べてリンクを貼ったのが、公式で公開されている主題歌のPVなのだが、このPVに使われている映像がこのまま流れるわけではない。実際のオープニングでは、実写の背景映像に桜子とひまわりの2人が映り込んでいる情景が延々と流れる。
詳しい人にはどこの場所なのかすぐ分かりそうなほどだったので、劇場版の「聖地」は公開されてるんだろうかと思い、帰宅してから調べてみた。どうやら本作の舞台は、撫子の学校以外は富山県高岡市がモデルとなっているらしい。