金賞とったラノベ『カナクのキセキ』のあらすじが『英雄伝説3』っぽい?


http://blog.esuteru.com/archives/2303254.html


 まとめサイトでも「あらすじだけじゃなんともいえない」といってるように、あらすじが似てるだけで中身は全然違うのかもしれないし、読んでみないとなんとも言えない。ただ「魔女」という人物が遺していった「軌跡」を少年と少女のペアで辿っていくストーリー、と言われると序盤は結構似てるように見える。とはいえ、この「紅の魔女」という人物が「後に暁の賢者として崇められるようになった」というあらすじがこのとおりなら、英雄伝説3の一番重要なポイントを変えちゃってるのでなんとも、というのがストレートな感想だ。












なぜ・・・。
なぜ、そんなに優しくなれる・・・。
肉体を捧げ・・・。
そしてまた魂を捧げ・・・。

この世界がお前の為に、
何をしてくれたと言うのだ・・・。
          ──「白き魔女」エピローグより


 英雄伝説3の「白き魔女」のストーリーが重く切ない理由は「世界は白き魔女によって救われた。だが誰一人としてそのことを知らない」からであって、魔女の残していった旅路を追っていった者たちだけが「真に世界を救ったのが誰なのかを知る」からだ。実際白き魔女は途中である人物の手にかかり殺されてしまっており、彼女は誰からも評価されていない。彼女を「崇めている」人間は誰もいない。そここそが物語の最大の核心だ。


 でもこれ、あらすじの紹介の仕方とかイラストの入れ方ももうちょっと考えてあげればよかったのに。選者や富士見ファンタジア文庫の編集部の方たちが白き魔女のことを知らないなんてことはないだろうからうっかりミスなんだろうけど……。




 これじゃ似てるといわれても仕方ない気も。


 ちなみに、白き魔女の場合、作中イラストやパッケージ等を含めて“白き魔女”ゲルドがこちらを向いているものはほとんどなく(PSP版のパッケージだと向きはこちら向きだが目が隠されている)、表情も意図的に隠されている(一応プロローグでは「もの静かで、いつも淋しげな表情をした娘」とある)。なお、下で紹介している白き魔女のパッケージに使われているシーンは、作中では極めて重要な意味を持つシーンである。
 それと、ヒロインが「天才的な魔法センスを持つ少女」というのも、白き魔女のテーマとは相反する。白き魔女の主人公2人は「ごく普通のありふれた少年と少女」でなければならない(その理由はエンディングで明かされる)。


 とまぁ、ここまでテーマ性の異なる作品ならば、別作品なのではないかな、という気がする。