そもそも、バッドエンドとは何か。一般的には
という理解がされていると思う(ニコニコ大百科より)。しかし、不幸な形の結末といってもいろいろあり、例えばマッチ売りの少女や幸福な王子の物語一つとっても「主人公が死んだからバッドエンド」なのか「幸福の中で死ねたからハッピーエンド」なのか「苦しみから解放されたからハッピーエンド」なのかというのは意見が分かれるだろう。
現代の物語にあっても同じで、「まどか☆マギカ」は「主人公が消滅したからバッドエンド」なのか「魔法少女が魔女化することがなくなったからハッピーエンド」なのか「さやかが死んだからバッドエンド」なのか「マミさんがマミマミされなくなったからハッピーエンド」なのかという論議は当然起きている。
全ての物語についてどれをバッドエンドとし、どれをハッピーエンドとするのかという基準の話まで踏み込むときりがない。しかし、TRPGにおけるバッドエンドとは何かを定義することは、比較的簡単にできると私は考えている。それは、TRPGが語り手から一方的に提示される物語でなく、双方向性を持つからだ。
TRPGにはシナリオが存在する以上、クリア目的が存在するはずだ。プレイヤーに対して提示される成功条件、ダンジョンシナリオであればダンジョンの踏破、お姫様がさらわれたといえばその奪還が目的となるだろうし、誰か/何かを倒せと言われればそれを倒すことがシナリオの目的となる。
TRPGにおけるバッドエンドとは、GMからプレイヤーに対して提示されたシナリオのクリア条件を満たすことができないままセッションが終了することであると私は考えている。
この定義に従えば、例えばシナリオの結果一つの村が壊滅したとしても、それを救うことがシナリオの目的でない限りバッドエンドではない、ということになる。そういった演出がされるセッションはいくつもあるはずだ。
また逆に、GMが意図していなくともプレイヤーのダイス目が壊滅的で、目的を達成できないこともあるだろう。それもまたバッドエンドだ。しかしその場合原因ははっきりしているし、今回論じたいケースとは少々状況が異なる。
問題は「GMが最初からクリアさせるつもりのない条件を提示している」場合である。
以前、ロールアンドロール誌に掲載されたりゅうたまのシナリオを私が酷評したことを覚えてらっしゃる方もいるかもしれない。あれが私の考える「まずいバッドエンド」の典型的な例にあたる。