何をさせたいの?

スレッド: ジョブ間におけるトレジャーハンターの効果について

http://forum.square-enix.com/ffxi/threads/20369-]


 上記はファイナルファンタジー11の公式フォーラムにおけるスレッド名だが、これは適切な命名ではない。なぜなら、ここに書かれていることは

レベル99のバランスにおけるトレジャーハンターの調整の一環として、以下の呼び出しペットの持つトレジャーハンターの効果を1段階までに変更する予定です。
 七つ星のユリィ
 忠義のファルコア


 のみだからである。この二つは要するに、トレジャーハンターアビリティを持つ獣使いの呼び出しペット全てだ。つまりこれは「獣使いのトレジャーハンターの効果の弱体化*1について」というスレッド名にするべき話題だ。そういうタイトルにしなかったのは単なるお為ごかしに過ぎない。
 修正そのものについての私の意見などは大したことではない。問題にしたいのはそこではない。

 問題はフォーラムの存在意義である。

なぜフォーラムを設けたか?

 今回の修正案は実質獣使いのみの弱体案であり、フォーラムの当該スレッドは弱体反対意見と賛成意見に二分されている。ただフォーラムの書き込みを見ると、賛成反対を問わず、ジョブの問題とプレイヤーの問題を混同している人、あるいはそうでないとしても「自分の個人的な感覚、体験」を元にした意見が相当数ある。それをゲームのシステム全体にまで押し広げて話している人がほとんどだ。
 でも、考えてみればそれは当然だ。プレイヤーは自分のプレイしている範囲・視点でしかそのゲームを語れない。語りようがない。ゆえに、プレイヤーからの意見を聴取すれば「偏って当たり前」なのである(今回の修正が適切であるかどうかを「私」が語ることにそれほどの意味がないと言ったのは、それが私自身の体験に基づいた話にしかなり得ないからだ)。
 極論すれば、10万人を超えるプレイヤーを持つファイナルファンタジー11にあっては、今回の件に限らず、ウッコビクスマ弱体案にしても、限界最終クエストにしても、例えどのような修正案であっても、賛成意見と反対意見が必ず生じる。どちらかしかないということはあり得ないし、全てのプレイヤーが納得する結論が導き出されることも決してない。誰かが喜べば誰かが悲しみ、誰かが笑えば誰かが怒り出す。
 誰もが突破するはずの限界クエストの仕様ですら、もっと緩和して欲しいという意見の傍ら「難しくて結構」と言い放つプレイヤーがいたのだ。それも少なからずである。フォーラムを設ければ両方の意見が出るのは当然で、そして結論が出ることもない。これも当然だ。正面切って議論すれば必ず歩み寄れる、全員が納得する結論が導き出されるなどというのは幻想に過ぎない。

 両方の意見が出ること自体は問題ではない。問題は、結論が出ないとわかっていながらなぜフォーラムを設けたのかということの方だ。実は、このフォーラムのトップトピックにはフォーラムについてこう書かれている。

フォーラム:重要なお知らせについて
このフォーラムは、ファイナルファンタジーXIファイナルファンタジーXI公式サイト、その他のファイナルファンタジーXI関連サービスに関する重要なお知らせをお届けする場です。

すべてのプレイヤーの皆さんにご確認いただきたいお知らせが掲載されますので、定期的にご確認ください。


 お分かりだろうか? このフォーラムは最初から「プレイヤーの皆さんの意見を聞く」などとは一言も書かれていない。また、個々のスレッドのトップにも

フォーラム:○○について
このフォーラムは、ファイナルファンタジーXIの○○に関する様々な話題についてディスカッションを行う場です。


 とだけ書かれている。ディスカッションを行った内容をフィードバックするかどうかについては一言も触れていない。

過ちはもう一度

 ここで私が思い出すのは、FF14のオープンベータテストのフォーラムだ。あの時も、プレイヤーからは数々の疑問や不具合が挙げられていた。しかし、開発スタッフはその疑問に答えることはなく、不具合を修正するために発売日を変えることもなかった。誰もが思ったであろう。


「何のためにフォーラムを作ったのか?」


 いや、もっと言おう。


「フォーラムは、プレイヤーに対して「議論した」という既成事実、アリバイを作るため、ガス抜きのためにだけ存在しているのではないのか?」


 だってそうだろう。修正案を出せば賛成反対両方の意見が寄せられるのは確実だ。そのうち修正案に賛成する意見だけを拾い出していけば「プレイヤーの皆さんの希望通り○○を修正しました!」と言えるのだから。あれだけ修正要望や反対意見の多かった限界最終クエストですら「直してる時間がないから」という理由でほぼそのまま実装し、FF14に至っては会社の屋台骨が傾くほどの影響があったにも関わらず寄せられた意見をゲーム内容に反映させることはなかったのだから「どんな意見が寄せられようが開発方針は変わらない」と思われても仕方があるまい。
 私はFF14のフィードバックに協力したのと正反対の理由で、FF11のフォーラムには一切書き込みをするつもりはない。開発スタッフのアリバイ作りに協力する気は微塵もない。もっと言えば、私は自分と異なる立場の人を引きずり落としたいわけではないのだ。
 意見が違っても協力し合えるのがオンラインゲームの醍醐味だと私は信じている。しかしフォーラムは現状、対立を煽る火種にしかなっていない。他人と手を組み共に戦うためのゲームで、わざわざ見知らぬ相手と喧嘩するためにフォーラムに乗り込む必要性を、私はまったく感じない。

 決して、松井氏を神格化しようというわけではない。彼の手がけたことで失敗したことも多くある。しかし、彼のツイッターFF11にとってはプラスになった。彼はプレイヤー同士の対立を煽るわけではなく、自分が開発者の一人として顔を出し、プレイヤーの意見を聞き、修正を施せるものは修正した。少なくともその姿勢は評価されて然るべきだ。
 今の開発スタッフは「松井氏のツイッターの代わりとしてフォーラムを用意した」と発言したと記憶しているが、とんでもない。彼のツイッターと今のフォーラムは真逆の方向に進んでいる。フォーラムでスタッフの個人攻撃が行われるのは不本意だ、今のフォーラムの方向は開発スタッフにとって意図した方向でないというのなら、目指す方向に修正していくべきではないのか?*2

 何も難しいことではない。松井氏がツイッターでやっていたことをやればいいだけだ。修正をするなというのではない。納得の行く形で理由を提示しろという話だ。標題のケースでいえば

大前提として、トレジャーハンターの恩恵は以下の順で高くなるようにしたいと考えています。
シーフ
狩人
サポートジョブシーフ
その他のジョブ
※狩人はメインジョブの支援能力として新たに「バウンティショット」を得たことで、これを有効に活用できればサポートジョブよりやや上の恩恵、という位置付けになっています。

しかしながら、レベルの上限が75→99に上がっていった過程で、この順序がジョブによっては曖昧になっていたり、捻れが生じてきていることを受けて、改めて方針を明確に定め、それに沿った調整を図っていくというのが今回の狙いになります。

その中でも最たるものが、レベル上限の解放に伴ってトレジャーハンターの段階が上がって行った呼び出しペットということになり、まずはその点を調整させていただきたいと思います。

調整の方法については、呼び出しペットのジョブを変更する/トレジャーハンターの性能はあまり引き下げない代わりにペットのパラメータを下げる/特殊技の利便性を見直すなど、いくつかの切り口で検討を行いましたが、最終的に戦闘力を削ぐ方向での調整は好ましくないだろうという判断から、トレジャーハンターの段階引き下げのみを行うことになりました。
なお、この調整に伴って、トレジャーハンターの効果を前提として設定していた「博打汁」の合成材料を緩和する予定です。
※今回の調整対象は呼び出しペットですが、将来的にもしオートマトン召喚獣などがトレジャーハンターを有することになった場合も、同じ方向性に揃えていくことを意図しています。


補足になりますが、更に別の方向性として、ドロップ確率のテーブルを変更して方針に沿うようなバランスを取ることも検討していました。しかしドロップ確率の変更すると全てのアイテムの入手確率がこれまでと変わってしまうことになり、影響が大きすぎることに加えて、逆転してしまっている順序を入れ替えるには至らないことから、ドロップ確率の調整は行わないという結論になりました。


広範囲に影響のあるテーマとして受け止めていただいたうえで、様々な視点からのご意見をお聞かせください。


 冒頭の「順番」はなぜその順番になったのか? それはいつ決まったのか?
 文脈からは「順番」はレベル75キャップ前から決まっていたように読めるが、ならばなぜそれ以後に実装されたペットのアビリティにトレジャーハンター2・3が付加されていたのか?(レベルキャップ開放に伴ってそうなったと書かれているが、間違いであることは実装時期からいって明白だ。この理屈に説得力を持たせるには、当然レベル75キャップ時代にその「順番」とやらが公表されていることが最低条件になる)
 獣使いの戦闘力をそぐのは好ましくないと判断したのはなぜなのか?*3
 また、事が獣使いのペットの弱体のみならば「広範囲に影響のあるテーマ」ではない。影響を受けるのは20のジョブのうちのたった一つだ。つまりこれは、今後他のジョブのトレジャーハンター関係の能力に、あるいはそれ以外に更なる弱体調整が入るということを意味するのではないのか?


 最初に提示されている「理由」と思しきものには、明らかな矛盾があると言っていい。ゆえにその説明には多くの人間が納得いかないし、フォーラムの議論で「裏の事情」を勘繰られるのだ。
 逆にいえば、相応の理由さえあれば(全員が納得する理由などあり得ないのはさっきも書いたが)議論など不要だ。議論して意味があるのは、議論の結果がどうフィードバックされるか明確にされている時だけだ。出された意見にどう対応するかも決まっていないのに、ただ双方に意見を書き連ねさせる行為など、はっきり言って何の意味もない。

*1:「弱体化」という言葉は戦闘能力にしか使わないと思うならば「下方修正」でもなんでもよろしい

*2:逆に、今の状態でいいのだ、これで理想のとおりだというのなら、もうつける薬はどこにもないが。

*3:戦闘力を削ぐのは好ましくないとか何とか言っているが、ルイネーターとレゾリューション、照破の弱体は今の運営ならもう避けられない規定路線だろう。つまり獣使いはそこでも再度弱体を受けることはほぼ確実である。弱体するなというのではなく、前言を翻さないでもらいたいのだ。