セイヴァー登場

鈴吹太郎の希望

鈴吹太郎の希望


 いよいよアルシャードが版上げである。ルールブックを一読し、あるページで思わず捲る手を止め、もう一度ページを読み直してしまった。
 ベーシッククラスのページ。なんと「基本クラス」の数が、4つから3つに減っている。
 確かにアルシャードガイアの時にも、ファンタジー世界ではないのに基本クラスがファイター(戦士)、スカウト(盗賊)、ブラックマジシャン(魔法使い)、ホワイトメイジ(僧侶)なのはどうなんだろうとは思っていたが、変更があったとしても名称が変わるくらいではないかと思っていたのだ。アルシャードアリアンロッドだけではなく、初代D&Dの頃からずっと4つだった基本クラスの「数」を変えるというのは、正直予想外だった。

 しかし、ほぼ同時発売の「鈴吹太郎の希望」を読んで腑に落ちた。確かにFEARのTRPGの多くは推奨人数を「3人から5人」と設定している。推奨人数の下限人数だと、基本クラスをフォローしきれないのだ。基本クラスを1人1つずつ持つことを推奨する以上、基本クラスの数は推奨人数の下限と同じが望ましい、というのは納得できる話である。

 新しい基本クラスは「アタッカー」「キャスター」「エンチャンター」となっている。アタッカーはほぼファイター、キャスターがほぼブラックマジシャン、そう考えるとエンチャンターがホワイトメイジのようだけれど、簡単にそうとは言い切れない。
 エンチャンターはホワイトメイジの中から支援系の能力を中心に再構成されており、なんとヒールがない。ヒールはどこにいったかというと魔法系共通スキル、誰でも取れる能力になった。つまりエンチャンターは回復系のクラスではないのだ。
 また、スカウトはほぼリストラと考えていいと思われる……加護からいっても、基本クラスにヘイムダルを持つものはないし、スカウトを特徴付けていた奇襲系の攻撃スキルは、基本クラスのスキルではほとんどフォローされていない。


 基本クラス以外でも大きく変化した点はある。まず最大の違いは、前にもエントリでちょっと予想したように「アルシャード」というゲームのメインストリームが「ミッドガルド(フォルテシモ系)」から「ブルースフィア(ガイア系)」に移行した、ということだ。これは、アルシャードの中心になる背景世界がハイファンタジーからローファンタジーに変化したことを意味する。たぶんこれも、時代の流れなのだろう。
 また、キャラクタークラスでいうと、旧版ではガイアに含まれていなかったヴァルキリーやエージェントがブルースフィア向けのクラスとして習得可能になっている。正直エージェントはどうしてブルースフィアにないのかと聞きたいくらいだったので非常に嬉しい。ただ、他作品の再現系PCを作るのに非常に便利なリターナーは是非欲しかった……。あと、基本的にアルシャードシリーズは「相当品」をあまり推奨していなかったと思うのだが、マシンヘッドではなくヴァルキリーをあえて基本ルールに収録したということは、マシン系のPCはヴァルキリーで表現しろということだろうか。そして、アーマー系のヒーローはルーンナイト?

 あと、セイヴァーの基本ルールブックが文庫本の分冊ではなく文庫本の1冊に収まっていることは、可搬性という点から高く評価したい。