こんなゲームだったとは


 「真・聖刻」が“CRPG化されたTRPG作品”のなかで相当に悲惨な出来だというのは知ってたんだけど、“ゲー無”で検索したら再生数上位に入ってくるほど話題になっているとは知らなかった(笑)。
 さらに動画のコメントで、ワースブレイドプロジェクトの復刻プロジェクトがキックスターターになっていたことに2度驚き、それが「ロボット+美少女もの」のいかにも今風の作品になっていたことに3度驚かされた……。


camp-fire.jp


 そして、動画でCRPG版のシナリオを追っていて感じたこと。TRPGとしてのワースブレイドのデザイン上の難点は、前にも書いたように「ロボット乗ってるプレイヤー以外暇になる」ことなんだけど(後述)、もう一つ、魔法使いを「練法士」っていう、忍者っぽい立ち位置のクラスに味付けしたのも失敗だったと思う。「シナリオの黒幕は大抵練法士、組織は秘密結社、メンバーはみんな正体を隠していて、目的も不明」ばっかりだと、プレイヤーとしては置いてきぼり感が激しい。
 小説は人気だったが、それは媒体的に敵側の視点が描写されたり、秘密を秘密のまま読み進めていっても問題ないからで、CRPGとかTRPGみたいに感情移入度の高い媒体で、それも一度ならずやられると(そもそも公式シナリオからしてほとんどそのパターン)、ちょっと……ってなる。
 その意味では、東方エクスパンションの「PCの敵は操兵と生身で戦えるような巨大な御仁(オニ)とか九尾の狐とかです」って割り切った世界観の方がTRPGに向いてたのかもしれない。

 なお、Wikipediaとかを見ると

PC全員が操手ということは世界観的にまずありえないため、操兵戦の最中は操兵に搭乗していないPCが手も足も出ないということも頻発する。そのため、ワースブレイドでは、一つの戦場に操兵に載っている者と載っていない者が混在して、互いのサイズの敵と戦うというバトルが推奨されている。

 とフォローが入っている(当時そういうサジェスチョンは確かにあった)が、これは実質的に意味がなかった。というのは、操兵戦闘のタスクが重い上に通常の戦闘と違いすぎ、平行進行するのが困難だったため、結局片方を先に終わらせるのが現実的で、しかもどちらを先に終わらせるかといったら操兵戦闘にならざるを得ないからである。
 なぜなら、結局決定権があるのは操兵戦闘だからだ。雑魚の戦闘で仮に負けても、逃げさえすれば、残った相手は操兵で蹴散らせる。逆に操兵戦闘で負けてしまったら、雑魚相手に勝ってもまったく意味がない。残された敵の操兵相手に戦えないからだ。──と、実際プレイするとここまでは1回のセッションで辿りついてしまう。よって、PCたちは操兵戦闘以外はやらなくなってしまう。

 ちなみに、ずっと前に書いた、参加していたサークルのWM(ワースメイカー、GMのこと)はどうしていたかというと、ちょっと変わった解決法を採っていた。「操兵を出さない」のである。これは「シナリオに操兵を出さない」のではなく「出てくるが戦闘にならない」という意味である。「あそこに操兵がいるから回避しよう」とか「今回の敵は操兵を持っているらしい」と話に出てくるだけとか(これも前に書いた北の帝国のエントリをよく読むと、それが察せられるかもしれない)。
 私が参加した頃には「操兵をいかにして出さないか」は、もはやWMとプレイヤーのギリギリを競うネタ合戦と化しており、PCが操手技能もないのに闇市場で操兵を競り落とそうとしたり(もちろんただの詐欺だと双方分かっててやっている)、操兵を持っているはずの国が実は張りぼてしか持っていなかったり。あれはあれで楽しかったが、ワースブレイドの楽しみ方としてオーソドックスだったかといわれると微妙だ(笑)。
 なので、前項に書いた「操兵戦闘の同時タスクは厳しい」とか「プレイヤーは操兵戦闘しかしなくなる」は、その後、身内でワースブレイドを自分がWMになってやってみたときに初めて分かった(懲りた)話だったりする。設定本を読むのは凄い楽しいゲームだったんだけどなぁ……。



 しかし(冒頭に戻ると)、ゲーム名である「真・聖刻」に大百科がないのに、「クソデカレベルアップくん」にあるっていうのも悲しすぎるだろ……(笑)。
 ただし制作メーカーに同情はしない。機動警察パトレイバーの有名なクソゲーを作ったメーカーなので。