今はこんなに堅いのか


 モンハンは3G以来やってないんで知らなかったけど、モンハンワールドの敵って、倒すのにこんなに時間掛かるのか。集中力が持たないぞ……。

さすがの数量

アリアンロッドRPG2E パーフェクト・エネミーガイド

アリアンロッドRPG2E パーフェクト・エネミーガイド


 アリアンロッドもこれだけ歴史を重ねてくると、エネミーだけでも凄い量になるな……。これだけの量になっても全モンスターイラストつきなのはご立派。昨日紹介した本なんて、イラストのある敵は4分の1もいなかったからな……。

 ちなみに、今回掲載されている選択ルールの「敵がフェイトを使用する」は、GMが相当慣れていない限り止めておいたほうがいいと思われる。私自身はやったことがないが、やったことのある人の経験談を聞く限り、GMの負担がかなり増えるからだ。ただでさえGMはプレイヤーに比べてずっと多い「敵」に関するリソースを管理しなければならない。これに加えて「フェイトを使うタイミング」という「その都度考える要素」を含むリソースが増えると、タスクとしてはかなりの増大になる。

 しかし、今日の本題はこちらではない。もう一つ掲載されている選択ルール「エネミー識別」の方だ。

敵を識別すること

 アリアンロッドは、FEARゲームのなかでは一番FEARゲームっぽさがないゲームだ、という人がいる。FEARのゲームはやらないが、アリアンロッドだけはやる、と公言する人も昔見かけたことがある。神業のようなブレイクスルールールがないせいかもしれない。反対に、アリアンロッドには他のFEARゲームではあまり見ないルールがあったりもする。
 そのうちの一つが、エネミー識別のルールだ。出てきた敵がどんな敵かを判定で識別するもので、ソードワールドにも似たようなルールが存在する。もちろんソードワールドのほうが古いが、恐らくどちらも元ネタはウィザードリィの「不確定名」と「ラツマピック」だろう。当然だが、TRPG版のウィザードリィにも該当するルールがある。
 しかし、これらのルールはどれも微妙に細部が異なる。ソードワールドに至っては、1と2でも既に内容が異なる。


ソード・ワールド2.5 ルールブックI (ドラゴンブック)

ソード・ワールド2.5 ルールブックI (ドラゴンブック)


 今回のアリアンロッドサプリメントに掲載されているエネミー識別に関する選択ルールは「敵に関するメタ知識を使うプレイヤーに対して、戦闘時に自分のPCの行動以外に関する発言を禁じる」というものだ。これも個人的には止めておいた方がいいと思う。というより、昔のブレカナにあった「戦闘時、プレイヤー間の会話を禁じる」ルールと一緒で、いつの間にかうやむやになって終わる可能性が高い。残念ながら、プレイヤーがメタ知識を使うことに対する完璧な対策というのは存在しないのだろう。
 そもそも、ソードワールドの「Gスラ問題」が示すように、敵の識別に関するルールというのはトラブルの元になりがちである。プレイヤーにとってみればPCの生死が掛かっているわけで当然のことではあるのだが。

 元祖TRPGであるD&Dには、敵の識別に関するルールは存在しない。ただ、逆にいえば、敵が出現した時にその名前をプレイヤーに告げるというルールもない。プレイヤーに分かるようにモンスター名を告げるか、それとも「燐光をまとった動く死体」(ワイトのこと)などと視覚的な情報のみを告げ、モンスター名を伏せるかはDMに任されていたと言える。これをシステム化したのがウィザードリィであり、ルール化したのがソードワールドであり、アリアンロッドである。


ウィザードリィ・コレクション

ウィザードリィ・コレクション


 私自身は、慣れているせいもあるが、ウィザードリィのシステムが一番わかりやすかったと思っている。というのも、不確定名がカッチリと決まっているため、識別できない限りモンスターを特定できず、メタ知識の使いようがないのだ。逆にいえば、不確定名のままの状態で、モンスターの能力のみから敵を特定して対策を取ってくるプレイヤーがもしいたら、素直に白旗である。
 実は、ソードワールド第1版の魔物知識に関するルールは、ウィザードリィのそれに近い。判定に成功しないとモンスター名が分からないというものだ(より詳細なルールだが)。しかしこのルールの一番の問題点は、ウィザードリィの「不確定名」に相当するものが、ルールブックには記載されていなかったということだ。
 「モンスターの外見に関する記述はある」と反論されるかもしれないが、例えばヒポグリフについて「頭が鷲で上半身が獅子で下半身が馬」と外見を描写したら、誰だってヒポグリフと特定できてしまう。なお、ウィザードリィ不確定名ワイバーンもキメラも「奇妙な動物」だ。「不確定名」は外見とは別にデータ項目として用意されていなければ、メタ知識防止のルールとしては役に立たないことになる。

 もちろん、CRPGであるウィザードリィなら識別前のモンスターの外見も不確定(ぼんやりしたシルエットしか見えない)にできるが、TRPGは識別前だろうが後だろうが、プレイヤーから外見に関する詳細な質問を受ければ(ルールで答えないと規定されていない限り)答えないわけにいかない。だからソードワールドアリアンロッドのような処理にならざるを得ないのだろう。

 なので、私自身に関していえば、メタ知識の使用を禁じたこともないし、モンスターの知識に関するルール自体もあまり必要と思っていない。とはいえ、昔D&Dに一番ハマっていた頃、モンスターの名前を伝えただけで宝物タイプまでスラスラ暗唱するプレイヤーがいたときにはさすがに驚いたが……。

真っ先に「スタイル感知」


 冒頭の「FEARのゲームの中でエネミー識別があるのはアリアンロッドだけ」というのと矛盾するようだが、私自身一番記憶に残っている「エネミー識別」は、トーキョーN◎VA・Rのフェイト(探偵)の特殊技能「スタイル感知」である。
 トーキョーN◎VAには、モンスターも存在しなくはないが、主な敵はキャストと同じ人間(ゲスト)である。サイバーパンクRPGであるこのゲームでは、外見はいくらでも偽装できるため、それだけでは能力(スタイル)は特定できない。偽装を見破りつつこれを特定するのが「スタイル感知」である。相手のキャラクタークラスを見破るようなものだ。
 N◎VAにはスタイルごとに「神業」が存在する。神業は全てのルールの上位に位置する。神業によって殺されることが決定すれば、神業以外のいかなる能力によってもこれを防ぐことはできない。死亡以外の効果も同じだ。また、神業より下位にある特殊技能もスタイルによって決まる。つまり、相手のスタイルを知ることは、エネミー識別同様、いやそれ以上に、相手の能力の全容を掴むことに繋がる。

 一番ギラギラしていた頃は、フェイトといえば必ず「スタイル感知」と「シャーロックホームズ」(リサーチが詰まった時にルーラーからヒントを得られる)を取るとほぼ決まっていた(笑)。敵ゲストと遭遇したら、真っ先にスタイル感知。相手のスタイルによってこちらの神業が防がれない(あるいはこちらを殺しきれない)と分かった瞬間、全員が鮫のように笑いつつ神業を放ち、カードすら出さずに相手を瞬殺する。逆にこちらの神業を防ぎうると分かったら、こちらからは神業を撃たず、通常データで相手を追い詰め、相手が防御神業を無駄打ちするのを待つ。これがセオリーだった。
 まさに「見破り間違えれば、味方に死人が出る」のだ。想定より敵の即死神業が多ければ、防御しきれずに必ず死ぬ。余りにもこの方向に特化しすぎたために、次第にこのやり方は主流ではなくなっていったのだが、あの頃はフェイトの判定カード1枚に、文字通りキャスト全員の命が掛かっていたと言っても過言ではない(笑)。