繋がってなかったような……


 うーん。私は割とクロノクロス肯定派だけど、DS版リメイクから受けた印象は、動画で言われている評判とは真逆。つまり「あの追加シーンは、クロノトリガーからもクロノクロスからも繋がらない中途半端なシーンなので、評価が低い」となる。

 というのも、これは完全に個人的な意見だが、トリガーからクロスに繋がる「未来」って、クロノとマールがラヴォス戦で死亡するか、重傷を負った(そして直後に死ぬ)未来だと考えているから。言い方を変えれば、あのパレポリ村が軍事国家として覇権を握り、ガルディア王国を滅亡させるのに、10年や20年ならともかくたったの5年しかないと仮定すると、ガルディア側にそれくらい不利な要素がないと成立しない。
 DS版ではダルトンが生き延びていてそれっぽいことを言う……っていうのも、伏線としては不十分というか、それはクロノクロスダルトンが登場していて初めて成立する話。後付けだから仕方ないと言ってしまえばそれまでだけど、ダルトンがクロノやマールに復讐を果たすほどの執念を持っていたのなら、クロノクロスの時代に町人の噂にもならないほど存在が消え去っているのは不自然だし、ルッカだけを放置するのもおかしい。
 そのルッカが赤ん坊を拾うシーンにしても、ガルディアが滅亡、親友二人が殺されてから数年しか経っていないにしてはやたら明るく演出されていて、これまた違和感しかない。


 逆に、クロノクロスラヴォス戦でクロノとマールが死んだ未来説を採る理由は、まず「クロノとマールが帰ってこなかったから、ガルディア王が消沈して政務を執らない」とか「ガルディア王自身が寿命で死んで後継ぎがいない」など、パレポリに滅ぼされる説得力が増すからだ。
 次に、クロノとマールがガルディア王or女王になった後、パレポリとの戦で倒れたというなら、二人の治世とか戦での活躍に触れる人がいてもおかしくないのに、それが絶無でその死に様さえ語る人がいないのは、ラヴォス戦という誰も見ていない戦いで二人が消えていなくなったからというのが一番しっくりくる。*1
 
 そして、最後にして最大の理由は、クロノクロスを「クロノトリガーの無数の未来の可能性のうちの一つ」だとするなら、「クロノとマールがラヴォス戦で死んだエンディングから繋がるのがクロノクロスだ」としておけば、「あれはバッドエンディングの続きの話だから、グッドエンドの世界線ではクロノたちは幸せに暮らした」という解釈が可能になるから、後であれほどの論議を呼ばなかったんじゃないか、というものだ。
 実際、無印の初代トリガーの時既に「クロノが死んだまま迎えるエンディング」は存在した。あのマルチエンディングはトリガーの醍醐味の一つだったし、わざわざグッドエンドに後味の悪い続きをくっつけるくらいなら、「クロノとマールが死んだまま迎えるエンディング=そのままクロスに繋がるエンディング」を一つ追加した方がよかったのでは、というのが正直な感想だ。
 プレイヤーからしてみると「自分たちの都合のいいように歴史を変えるのは罪」だとか「力に頼っては何も解放できない」とか言われても、他の選択肢が提示されてプレイヤーが選択できるわけではないので、納得いかない人もいるのは無理もない。


 まぁ、これはアルティマニアの記載が云々とかではなくて、あくまでも両作の作中の描写を踏まえて私自身がそう解釈している、という話に過ぎない。とはいえ、このDS版の追加要素のことを考えると、リマスター版はDS版ではなく無印版を元にして、一切手を加えない方がいいんじゃないか、と思っている。

*1:なお「クロノとマールはルッカと同様ヤマネコに暗殺された」という展開も思いつくが、これを考慮から外すのは年表と矛盾するから(ガルディアの滅亡はヤマネコの出現より前)である。